今年のサーキット・オブ・ジ・アメリカズは、温度計の表示以上に蒸し暑い、過酷な条件のなかでレースが行われた。3位でチェッカーフラッグを受けたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はこう振り返る。
「これまでのレースで間違いなく最も厳しく、長いレースだった。レース前からあまり調子はよくなかったということもあり、さらに1周目にドリンクシステムが止まってしまい、今日の暑い気候のなかでは体力的にとても厳しい状況だった。20周目を終えるころには相当体力を消耗してしまい、マックスとルイスについて行くことができなかった」
体力的に厳しかったのはドリンクシステムが止まったペレスだけではなかった。ペレスの10秒後にフィニッシュしたシャルル・ルクレール(フェラーリ)はミックスゾーンにやってきた後、しばらく座ったまま、立てなかった。
「なんていうレースだ。僕のキャリアのなかでも最も肉体的に厳しいレースのひとつだったよ。気温が高く、体だけでなく、リヤタイヤもオーバーヒートしていて、コントロールするのが大変だった」(ルクレール)
そのような過酷な条件のなかで誰よりも速くマシンをコントロールし、誰よりも正確にタイヤをマネージメントしていたのが、マックス・フェルスタッペンだった。
「自分のスタートはそれほど悪くなかったけど、ルイスのスタートの方がよくて、ターン1でポジションを失った」というフェルスタッペンとレッドブル・ホンダは事前に話し合っていたように、逆転を狙ってアグレッシブな戦略を採る決断を下した。それは相手よりも早くピットインをするアンダーカットという戦法だ。
これで1回目のピットストップでルイス・ハミルトン(メルセデス)を逆転したレッドブル・ホンダ陣営は、2回目のピットストップもハミルトンよりも先にピットインして逆転を許すことなく、最終スティントに入った。
アンダーカットにはコース上での順位を有利に進めることができるという利点がある一方で、残りのスティントが相手より長くなるため、タイヤのマネージメントが大変になるという難点がある。
「今日はとても暑かったので、最後のスティントは体力的にもタイヤにも厳しかった。最後の2周はタイヤにラバーが残っていなくてグリップがほとんどなかった」(フェルスタッペン)
レッドブルのヘルムート・マルコも、こう語る。
「最後までどうなるかわからなかった。優勝を確信したのは、マックスがチェッカーフラッグを受けた後だったよ」