2021年10月25日 16:41 弁護士ドットコム
「過去6カ月のうち、月45時間の残業が3カ月続いていた場合、会社都合の退職にできる」
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ネットでは「社畜ライフハック」として、こんな「知識」がたびたび話題になります。厚労省のホームページを確認すると、たしかに「離職した日の6カ月間のうちに3月連続した45時間を超える時間外労働および休日労働がおこなわれたため、離職した者」は「特定受給資格者」するとあります。
通常、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するには、被保険者だった期間が離職の日以前2年間に12カ月以上、必要になります。しかし、「特定受給資格者」と認められれば、離職は「会社都合退職」とされ、被保険者だった期間が離職の日以前1年間に6カ月以上あれば、受給することができるなど、さまざまな違いがあります。
しかし、この制度を利用するには注意点もあるようです。
まず、「特定受給資格者」の範囲は、厚労省のホームページにまとめられています。
・厚労省のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000147318.pdf
ネットで噂になっているものだけでなく、勤め先が倒産してしまった場合、事業所が廃止されてしまった場合、事業所の移転で通勤することが困難になって離職した場合などがあります。
では、ネットで「社畜ライフハック」と呼ばれている「特定受給資格者」になるには、何が必要なのでしょうか。
東京都労働局の担当者に聞いたところ、失業した人が自身の居住地のハローワークで、労働契約書や、労働時間が記載された書類などを提出して、「過去6カ月のうち、月45時間の残業が3カ月続いていた」と認められれば、特定受給資格者と認められます。
しかし、労働時間の記録を会社側が持っていた場合はどうなるのでしょうか。
「会社のほうにしか記録がない場合、ご本人から申し立てを受けたハローワークが、会社の所在地管轄のハローワークに連絡して、会社に確認します。会社から記録をいただき、ご本人がおっしゃってることが正しいかどうかを確認するというかたちになります」(担当者)
では、会社の記録と本人の主張が異なっていた場合はどうなるのでしょうか。
「それから、双方のご主張が異なる場合は、会社に対して、ご本人のメモではこうなっていますが、どうでしょうかと確認するかたちになります。それでも異なる場合は、基本的に書類での確認になってしまうのですが、たとえば、残業について同僚の証言などがあれば、受給地のハローワークが個別に判断することになると思います」