前日予選でコースレコード更新という快挙でポールポジションを獲得した16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(サクセスウエイト=SW:24kg)を筆頭に、セカンドロウ3番手の64号車Modulo NSX-GT(同10kg)、4番手の8号車ARTA NSX-GT(同30kg)が軽量さを活かした逃げを決めるのか、それとも70kgものSW搭載ながらフロントロウ2番手に飛び込んだ14号車ENEOS X PRIME GR Supraらが戦略面で優位性を生み出し、タイトル戦線でも再び主役の座を取り戻すのか。ランキング上位勢の重量組が見せる逆襲のレースvs軽量組のスパートが決まるかが決勝序盤のポイントと考えられた。
すると前日予選でもその動きからソフト側のコンパウンドを選択していそうなENEOS X PRIME山下健太が、第1ヘアピンで先頭のRed Bull MOTUL MUGEN大湯都史樹のインに飛び込み、早々と首位浮上に成功。後方ではその14号車と同じく予選終盤までステイ組だった39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraヘイキ・コバライネン、38号車ZENT CERUMO GR Supra立川祐路もそれぞれポジションを上げてくる。
すると5周目にまずは14号車を対象に、このラウンドで年間3基のエンジン使用基数により5秒間のピットストップペナルティがレースコントロールから宣告され、7周目突入時点でENEOS山下がピットレーンへ。続く周回には37号車KeePer TOM’S GR Supraも同様にペナルティを消化し、8周目に指示を受けたZENT立川は最終セクターブリッジ手前で17号車Astemo NSX-GTとの接触サイド・バイ・サイドを制すると、続く9周目の1コーナーで39号車DENSOにもアウトから仕掛けてオーバーテイク。ピットを前に少しでもポジションを稼いでおこうという気迫の走りで、GRスープラ勢最後のペナルティ消化へ向かう。
35周以降テール・トゥ・ノーズに迫ったNSX-GTの2台は秒差圏内での勝負を繰り広げるも、40周を前にスーパーフォーミュラ新チャンピオン野尻がペースを持ち直し、GT300のトラフィックなども巧みに利用してマージンを5秒以上に拡大。一方で後方10番手のポイント圏内を争う勝負でも、同じくトラフィックを活用した11番手のZENT石浦宏明が14号車のENEOS X PRIME大嶋和也らを仕留め9番手にポジションアップ。17号車Astemoの塚越広大を後方へと追い落とす。
しかしはるか前方、首位ARTAを筆頭にポディウム圏内の3台は65周を走破し、ARTA NSX-GTが2位のZENT CERUMO GR Supraに対し28.548秒もの大量マージンを築いての独走優勝。シーズン序盤からトラブルやアクシデントに見舞われ、勝てるレースを落としてきたARTAにとっては、悲願のシーズン初勝利となった。