サーキット・オブ・ジ・アメリカズでF1アメリカGPが復活したのは2012年。シーズン終盤の10月から11月に開催されているためか、ここでタイトルが決することが少なくない。
そして、F1にパワーユニットが導入されて以降、2019年まで6回のグランプリで予選は常にメルセデスが席巻してきた。2014年と2015年はニコ・ロズベルグ、2016年から2018年まではルイス・ハミルトン、そして2019年はバルテリ・ボッタスと、いずれもメルセデスのドライバーがポールシッターとなってきた。
そのアメリカGPで、パワーユニットが導入された2014年以降、初めてメルセデス以外のパワーユニットを搭載したドライバーがポールポジションを獲得した。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだ。
メルセデスのチーフストラテジストを務めるジェームス・ヴァレスはホンダのパワーユニットを次のように評価した。
「今年のホンダは素晴らしい仕事をしている。すでにホンダのパワーユニットは我々に完全に追いついた」
ホンダのパワーユニットがメルセデスに追いついたのは、パワーユニットの性能だけではない。信頼性に関しても大きく向上している。レッドブル・ホンダのふたりはICE、ターボ、MGU-H、MGU-Kに4基目を投入しているが、これはそれぞれ接触事故によって1基を事実上失ったためで、パワーユニットの信頼性に問題があったからではなかった。
これに対して、メルセデスは、信頼性の観点からハミルトンがICEのみ前戦トルコGPに4基目を投入。チームメートのボッタスに至っては、第14戦イタリアGPに4基目を投入した後、第15戦ロシアGPに5基目、そして今回のアメリカGPで6基目を投入することとなった。4戦で3回のパワーユニット交換というのは、これまでメルセデスになかった事態で、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも次のように語っていた。
「昨年までのメルセデスの状況からすると非常に驚いています。何かトラブルがあるから交換しなければいけないのでしょうけど、PUメーカーにとってみれば非常につらい状況なのかなと思います。この先もどうなるかわかりませんが、他のメルセデス勢も変えていましたよね。なので厳しい状況なのかなと。驚いているといえば、驚いてます」
予選でメルセデスに土をつけたレッドブル・ホンダ。レースでも勝利すれば、2018年のフェラーリ(キミ・ライコネン)以来、メルセデス以外のパワーユニットを搭載したドライバーが勝つこととなる。メルセデスの牙城ともいえるサーキット・オブ・ジ・アメリカズで勝利すれば、チャンピオンシップ争いでも大きな1勝になるに違いない。