第16戦トルコGPを終えて、チャンピオンシップ争いはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が262.5点でトップ。6点差の256.5点でルイス・ハミルトン(メルセデス)が2位となっている。
残りはあと6戦。メルセデスのチーフストラテジストのジェームス・ヴァレスに今後の展開を尋ねると、こう回答した。
「実は非常に予想が立てにくい。というのも、今年はハンガリーGPやベルギーGP、そしてトルコGPと雨のレースが多く、ドライコンディションでの我々とレッドブル・ホンダの力関係がいまひとつ明確になっていないからなんだ」
ただし、標高約2250mのメキシコシティーで行われるメキシコGPに関しては「レッドブル・ホンダにはかなわないだろう」と、ヴァレスは早くも白旗をあげる。では、標高約800mのインテルラゴスで行われるブラジルGPはどうか?
ブラジルGPは昨年コロナ禍で中止となったので、直近で行われたグランプリは2年前。そのとき、ハミルトンはフェルスタッペンに完敗しただけでなく、セーフティーカーが入るなどレース終盤に混乱があったとはいえ、アルファタウリ(当時はトロロッソ)のピエール・ガスリーにも敗れた。
しかし、今年はわからないとヴァレスは言う。
一方、レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)はこう予想している。
「我々はあと2勝はできるだろう。メキシコGPとブラジルGPだ。しかし、チャンピオンシップを獲るためにはもう1勝しなければならない。したがって、アメリカGPが我々にとって天王山になる」
今年初開催となる中東の2戦、第20戦カタールGP、第21戦サウジアラビアGPは、過去のデータがないため、レッドブル・ホンダもメルセデスがどうなるかわからないという。最終戦アブダビGPは昨年はフェルスタッペンが優勝しているが、伝統的にメルセデスが強さを発揮してきた。したがって、レッドブル・ホンダ陣営にとっては、残り6戦のうち半分の3勝を確保するには、得意のメキシコGPとブラジルGP以外にもうひとつ終盤の中東3戦以外に勝ち星をあげておきたい。それがマルコの「アメリカGPが天王山」という理由だ。
気温が29度を超えた初日のアメリカGPでは、フリー走行2回目でフェルスタッペンとハミルトンがコース上でやり合うシーンが見られた。今年のアメリカGPは気温だけでなく、チャンピオンシップを賭けたフェルスタッペンとハミルトンの戦いもヒートアップしそうだ。