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ファイナルで大逆転劇を演じたヒュンダイのニクラス・グロンホルムが今季2勝目/WorldRX第7戦

2021年10月21日 12:01  AUTOSPORT web

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タイトルコンテンダー3台を最後に出し抜いたニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SET World RX Team)が、大逆転での今季2勝目を飾っている
10月16~17日の週末にポルトガル・モンタリグレで開催された2021年WorldRX世界ラリークロス選手権第7戦は、開幕ダッシュを決めながらここ3戦は勝利から遠ざかっていた選手権首位のティミー・ハンセン(プジョー208 WRXスーパーカー/ハンセン・ワールドRXチーム)が初日最速と気を吐くものの、日曜ファイナルを終始支配したそのタイトルコンテンダー3台を最後に出し抜き、ニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SET・ワールドRXチーム)が大逆転での今季2勝目を飾っている。

 前戦スパ・フランコルシャンから2週連続開催となったWorldRX第7戦は、直近数戦でツキから見放された状況が続いていたティミーが「僕らのマシンとこのトラックの相性は抜群だから、チャンスはあるはず」との強気な見立てどおり、土曜の予選ヒートQ1とQ2でブルーラインの入ったプジョー208 WRXスーパーカーが連続トップタイムを叩き出し、中間リザルト首位で夜を越すこととなった。

「とても良い初日だったね。グリップの高いトラックに行きたいと常日頃、口にして来たが、ここでその言葉を実際に証明できたことは本当に良いことだ」と、2019年のワールドチャンピオンでもあるティミー。

「このトラックはスムースなグラベルに、コーナーのリズムも良くとてもクールだ。Q2にセットアップ変更を施したのが裏目に出て、ドライブが少し難しくなってしまったが、連続トップタイムが記録できて最高の1日になったね」

 その背後には、Q1で2番手タイムだったグロンホルムと、同じくQ2でセカンドベストにつけた3冠王者ヨハン・クリストファーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)が並んでトップ3を形成する結果となるも、KYB EKS JCのエースはパンクとトラフィックでタイムを失っていたこともあり「クリーンエアでのスピードには競争力があるはず」と、明日に向け期待を抱かせるコメントを残した。

 その言葉どおり、明けた日曜午前のウォームアップからケビン・ハンセン(プジョー208 WRXスーパーカー/ハンセン・ワールドRXチーム)と兄のティミーを従え、最速タイムで1日を開始したクリストファーソンは、セミファイナル2でもグロンホルムを降して勝利を挙げ、順当にファイナル進出を確定させる。

 一方、Q3とQ4でそれぞれトップタイムを記録したハンセン・ブラザーズも、セミファイナル1でワン・ツーを決め、今季は開幕から連続ファイナル進出記録を続けているクリスティアン・サボー(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SET・ワールドRXチーム)に、3冠王者の僚友エンツォ・アイデ(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)の6台がファイナリストとなった。

■「予選後には想像できなかった」と今季2勝目マークのグロンホルム

 この6周勝負の最終ヒートでは、まず3番グリッドのグロンホルムがオープニングラップで真っ先にジョーカー消化に向かうと、首位クリストファーソンとハンセン・ブラザーズのプジョー2台は熾烈なバトルを繰り広げる。

 これでクリーンエアでの走行となったGRX-SETのエースカーは、3台をアンダーカットすべく4番手で懸命のフルアタックを続けていく。その気配を感じつつプジョーからの圧力も受けたアウディは、暫定2番手で前を取られたティミーを懸命に追うと、3周目のコース中盤でわずかにワイドになり大きくドリフト。この隙を突いてパッシングを仕掛けたケビンに行手を塞がれ、グラベルトラップを横切りトラックマーカーのボラードを薙ぎ倒しながら、なんとかポジションを守りプジョーの間でコース復帰を果たす。

 そして迎えた運命のファイナルラップ。先頭の3台はいずれもこの周までジョーカーを引っ張り、アウトサイドのターマック路へ飛び込むと、イン側のターン1をコンパクトに立ち上がったグロンホルムが首位浮上に成功。そのままWorldRXキャリア通算5回目、今季2勝目を手にする結果となった。

「本当に気分が良いね! 予選後にこの展開はまるで想像できなかったよ。今日はとくにグラベルセクションでのドライブが本当に楽しかった」と、強豪たちを直接対決で降した25歳のグロンホルム。

「僕には決勝スタートでジョーカーを選ぶ以外に選択肢はなかったが、ティミー、ヨハン、ケビンが全員スタンダードラップを選んだことに少し驚いた。僕自身も予選よりペースが良く、彼らがバトルを続ける間にギャップを詰めることができた」

「それが充分かどうかは最後まで未知数だったけど、ありがたいことにキャッチアップすることができた。次のニュルブルクリンクも本当に楽しみになったし、今季の力強いフィニッシュに向け最善を尽くすつもりだ」

 一方、2位に入って選手権ポイント上でも17点差までマージンを広げることに成功したティミーに対し、クリストファーソンはトラックマーカー違反で5秒のペナルティが課され最下位に降格。最終的にケビンが3位のリザルトを手にしている。

 ここから約6週間のブレイクを経てシリーズはいよいよタイトル決定の舞台、ドイツ・ニュルブルクリンクに移動。11月27~28日の週末はダブルヘッダー戦により最大60点のポイント獲得が可能であるほか、併催の電動ワンメイク・シリーズ『FIA RX2eチャンピオンシップ』の初代王者も決することになる。