2021年10月19日 18:11 弁護士ドットコム
埼玉西武ライオンズの松坂大輔投手が10月19日に現役最後のマウンドに上がる。数々の伝説をつくってきた「平成の怪物」だが、その「序章」となった甲子園で、審判の1人をつとめたのは実は弁護士だった。
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劣勢からの大逆転となった明徳義塾戦で球審、ノーヒットノーランで春夏連覇を飾った京都成章戦で一塁塁審だった清水幹裕弁護士は「ボールの伸びが違った」と当時を振り返った。
清水弁護士は、東大野球部出身。弁護士のかたわら野球の審判をつとめ、東京六大学野球で星野仙一投手(明大)や斎藤佑樹投手(早大)、 甲子園では桑田真澄投手(PL学園)など、多くの名プレーヤーを間近で見てきた。
球審として松坂投手の球を見た1998年夏の甲子園の明徳義塾戦は、8回表が終わった段階で松坂投手の横浜高校は0-6とリードされて劣勢。しかし、8回裏に4点、9回に3点をとって逆転勝利した。
松坂投手は前日にPL高校との延長17回の死闘を投げ抜き、この日はレフトで先発出場、9回表の1イニングだけ登板した。マウンドに上がるため、テーピングを外す松坂投手の姿は有名なシーンだ。
「他の投手とは、伸びが違った。ワンバウンドすると思ったストレートがそのまま伸びてきました」と清水弁護士。ただし、球の凄さと同じくらい印象に残ったことがあるという。
「松坂くんより球が速い投手はいるかもしれないし、コントロールでいえば、江川卓投手のほうが上だったのではないかと思います。ただ、いろいろな大投手を見てきましたが、たまに孤高の存在のような投手がいる。
でも、松坂くんは雰囲気が明るいんですね。『おい、野球やろうぜ』みたいな、一緒に野球をやっていて楽しくなる感じがあった。松坂くんが出てくるとみんなが元気になる。それがあの逆転劇につながったのかもしれません」
ライバルたちも「松坂世代」を自称し、常に一目を置かれ続けた松坂投手。その人望、人を惹きつける魅力を示すエピソードだ。