現在ウイリアムズF1を率いるヨースト・カピートとフランソワ-グザビエ・ドゥメゾンと話をすると、彼らがいかにWRC世界ラリー選手権での経験を楽しんでいたか、そして今でもグラベルステージで何が起こっているのかを注意深く観察していることがよくわかる。
彼らがラリー界のレジェンドであるカルロス・サインツと親しげに話している姿は至って普通の光景で、それはフェラーリF1所属の息子カルロス・サインツJr.が将来的にウイリアムズへの移籍を考えていることを示唆しているわけではもちろんない。
そうではなく、彼らが話しているのは最新のラリー情報であり、サインツのラリーレイドでの次の挑戦のことである。彼らが一緒にいるときは、たとえF1のパドックだとしても、サーキットでの仕事は二の次なのだ。
2021年のラリージャパンが開催中止になったことは、フォルクスワーゲン・モータースポーツの元ボスたちにとっても残念だったようで、ふたりとも日本はWRCの舞台にふさわしい国だと断言している。
カピートは、「日本には何度も行ったことがある。ペトロナスで働いていたとき、日本の企業とたくさんの仕事をしてきた。日本での時間、そして日本人と一緒に仕事をすることは本当に楽しく、素晴らしいものだった」
「日本はモータースポーツのファンが多く、テクノロジーや自動車、モビリティにも関心が高いので、日本で何かイベントを開催するのはいつだって素晴らしい」
「日本のメーカーがラリーへの関心をもっと高めてくれて、WRCへの参加に繋がってくれることを願っている。個人的にはスバルがWRCにふさわしいと思っていて、彼らの復帰を心待ちにしているんだ」
カピートの友人でもあるドゥメゾンも共鳴しており、同じ点を指摘している。
「日本のメーカーは常にWRCに関わってきたが、今はトヨタが旗振り役を担っている。だから、2022年まで待たなければならないとしても、日本でWRCのイベントが開催されるのは素晴らしいことだ」
「結局のところ、世界選手権をオーガナイズする立場にあるとしたら、すべてのイベントをヨーロッパだけで開催することは不可能で、世界中で開催しなければならないと思っている。日本は明らかにWRCが訪れるべき国で、ラリーを開催するに相応しい価値も備わっている」
「なぜなら、日本には何十年にもわたってWRCで重要な役割を果たしてきた多くの自動車メーカーが存在するからだ。また、チームにとっても新しいイベントであり、これまでとはまったく異なる国での新たな挑戦は常に歓迎すべきことだ」
「モーターレースは、様々な国や文化を発見することでもあるので、WRCに日本が加わることは至極当然のことであり、歓迎すべきことだ」
※この記事は本誌『オートスポーツ』No.1562(2021年10月15日発売号)からの転載です。