2021年10月18日 10:41 弁護士ドットコム
岡山県倉敷市内を走行していた10代の男女5人の乗った自動車が10月7日未明、道路脇のガードレールに衝突する事故を起こした。車を運転していたのは仮免許を取得しただけの高校生だったという。
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報道によると、この事故で、後部座席に座っていた男子学生1人が死亡し、女性1人が意識不明の重体になっているほか、3人も重傷を負った。
現場は見通しの良い片側3車線の直線道路で、事故原因はまだ明らかとなっていないようだが、運転していた高校生は、仮免許で路上を運転できる条件を満たしていなかったという。
仮免許で路上を運転できる条件とは何か。道路交通法87条が以下の3点を定めている。
(1)運転の目的が、練習のためであること
(2)助手席に資格のある指導者が同乗すること
(3)仮免許であることを示す標識を車両の前後に設置していること
(1)もし、練習以外の目的で運転した場合は、無免許運転になる。仮免許で友人とドライブするなどの目的で運転することは認められていない。
(2)資格のある指導者は、練習する車を運転できる「取得期間が通算3年以上の第一種免許」または「第二種免許」を持っていることが必要だ。第二種免許は、営業でバスやタクシーなどを運転するのに必要で、保有者は一般に高度な運転技術を持っているとされる。
(3)仮免許であることを示す標識は、車両の前後ともに、「地上0.4メートル以上、1.2メートル以下」の見やすい位置に表示しておく必要がある(道交法施行規則15条の3)。
このほか、運転する本人が仮免許を携帯していることも欠かせない(道交法95条1項)。これらの条件に違反する行為には罰則も定められている(道交法118条1項8号、120条1項14号など)。
また、仮免許で運転して事故を起こした場合、仮に資格のある指導者が同乗していたとしても、その責任は運転者が負うことになる。
運転では必ずしも難しい操作が求められるわけではないが、刻一刻と変わる交通状況に対応しつつも、歩行者などへの注意を怠らず安全運転しなければならない。それは、十分な運転技術を持っていても、どれだけ運転経験があっても簡単なものではない。
運転技術そのものが不十分な仮免許の段階であれば、より一層難しいものとなる。たとえ仮免許で路上を運転できる条件を満たしていても、相当な危険が伴うことを十分に認識しておかなければならない。