抜群の蹴り出しを見せたのはフロントロウの山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)で、大津よりもわずかに先に1コーナーに侵入。ただ大津もアウト側からしっかりと食らいつくと、大外刈りで山本をとらえてトップのポジションを死守した。3番手の野尻はポジションをキープして1コーナーをクリアしていったが、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)はややアウト側にはらみコース外に飛び出してしまう。
続く3コーナーで目の前の山下健太(KONDO RACING)を攻略した阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)が、5コーナーで野尻もパスして3番手に浮上。野尻は阪口とのバトルの際に片輪をダートにはみ出してしまい、その間に背後の山下と関口が接近、4台パックで130Rに侵入していく。4台のバトルは山下が先頭で抜け出ると、阪口、野尻、関口の順に。なんとか関口を押さえていた野尻だったが、90度コーナーでイン側をさされ、さらに後退。2周目の3コーナーではオーバーテイクシステム(OTS)も使いながら牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が野尻をパス。野尻はスタートから2周で8番手までポジションダウンしてしまった。
スタートから数周が過ぎると、レコードライン上の水もなくなりはじめ、タイヤを冷やすために水のある場所を選んで走行するドライバーも出てくるが、そんなタイミングでいち早くスリックタイヤへの交換に入ったのが小林可夢偉(KCMG)だった。予選ではQ1でまさかのクラッシュを喫し、決勝レースを18番手からスタートした小林だが、抜群のスタートダッシュでオープニングラップでは9番手まで浮上。その後13番手まで後退した8周目に真っ先にピットインし、スリックタイヤへと交換した。これを見てか、翌周は山下、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)がスリックタイヤへと交換。しかし、宮田はコース復帰直後の1コーナーでオーバーシュートしてしまい、フェネストラズは5コーナーでスピンし、マシンを停めてしまった。
先頭を走る大津が11周目に入ったところで、フェネストラズのマシンを回収するためにセーフティカー(SC)が入り、このタイミングで多くのマシンがスリックタイヤへとチェンジ。ステイアウトを選択した山本と福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、平川亮(carenex TEAM IMPUL)が上位3台に並んだ。フェネストラズのマシンは自力でコース復帰に成功し、13周目にレースが再開するが、いまだウエットタイヤの上位3台は、暫定4番手の大津に対しタイヤ交換分のマージンを築くべくフルプッシュを見せる。
レースの折り返し地点を迎え、生き残っていたのは14台。坪井、山本、平川の3台の車両回収にはやや時間が掛かったが、26周目にリスタートが切られる。この時点でトップを走るのは大津。その背後に阪口、牧野、関口、野尻、松下信治(B-Max Racing Team)と続いていた。上空は徐々に明るくなり、このころには路面コンディションも回復。残り10周で上位6台がパックでポジション争いを展開し、ワンミスが命取りになる緊迫した戦いが続いた。