2021年10月14日 14:01 弁護士ドットコム
自身のウェブサイト上に他人のパソコンのCPUを使って仮想通貨をマイニングする「Coinhive(コインハイブ)」をめぐる事件で、最高裁第一小法廷は、上告審弁論を12月9日午後1時半に開くことを決めた。弁護人が取材に明らかにした。
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これはコインハイブを設置したウェブデザイナーの男性が、不正指令電磁的記録保管の罪(通称ウイルス罪)に問われた事件。
最高裁は二審の判断を変更する場合に弁論を開くことが多いため、男性に罰金10万円の支払いを命じる逆転有罪判決を言い渡した二審・東京高裁判決が見直される可能性がある。
弁護人の平野敬弁護士は「自分の主張を三行半で棄却されるのではなくて、裁判官の面前で伝えられることに喜びがあります。条文の解釈や憲法に踏み込んだ判断をしてほしい」と期待した。
今回の事件が法廷で争われることになったのは、横浜簡裁が罰金10万円の略式命令を出した後、男性が命令を不服として正式裁判を請求したからだ。略式手続とは、正式裁判によらないで、検察官が提出した書面で審査する裁判手続のことをいう。
男性が正式裁判を申し立てなかった場合、「不正指令電磁的記録保管罪」の解釈について法廷で争われることはなかった。
平野弁護士は「彼が声を上げなければ、ここまで大きな問題にならず、警察の取り締まりも続いていただろうし、他にも波及していたかもしれない。このタイミングで声をあげて戦う選択肢を取ってくれたこと、最高裁まで戦ってくれたことは、歴史的意義のあることだ」と話した。