2021年F1トルコGP決勝で、メルセデスのルイス・ハミルトンは5位を獲得した。ICE交換によるペナルティで11番グリッドからスタートし、14周目には5番手に浮上。だが、前を行くセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)に追いついた際に、抜くことはできなかった。
ペレスを含め、ほとんどのドライバーがタイヤ交換を行ったころ、メルセデスはハミルトンにピットインを指示するが、ハミルトンはステイアウトを主張。そのまま続行したいというハミルトンに対して、チームは検討するとして決断を保留。しかし結局、58周のレースの50周目にピットインを行うこととなった。
ハミルトンは3番手から5番手に落ち、新品インターミディエイトのグレイニングに苦しみ、前のグループを追うことができずに、そのままの位置でフィニッシュした。
チーム代表トト・ウォルフは、ハミルトンのタイヤ交換に関する判断について、次のように述べている。
「難しい決断を迫られた。我々は、ピットストップをせずに3位を獲得することができるかもしれないと考えた。あるいは、路面に乾いたラインが出てくれば、ソフトタイヤにスイッチすることが可能かもしれないという思いもあった。つまり、安全にピットストップをして、(シャルル・)ルクレールやペレスとコース上で3位を争うか、計算されたギャンブルをして、優勝、あるいは3位の可能性にかけるかについて、検討していたのだ」
「しかし、(無交換でトップを走り)古いインターを装着していたルクレールのペースが落ちてきたのが分かり、ルイスのペースも同様に落ちてきたため、最後まで無交換で行くことは不可能であり、ピットストップの必要があると分かった」
「その段階でルイスは、(6番手走行中のピエール・)ガスリーや(5番手走行中の)ペレスより、ラップタイムが1.5秒も遅くなっていた。走り続けても、追いつかれるのは時間の問題だった」
「5位という結果に落ち着いたが、自分たちの決断には満足している」
ウォルフはBBCに対して「今思えば、10周早くピットインして、コース上で戦えば、3位か4位でフィニッシュできたかもしれない」とも語っている。
トラックサイド・エンジニアリングディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、「大部分のマシンがピットストップをしている段階で、我々はルイスをステイアウトさせ、最後まで走り続けるか、あるいはドライタイヤに交換するチャンスにかけた」と説明した。
「だが、スリックに適したコンディションにならないことが明らかになり、戦略ツールにより、ステイアウトしていても、ペレスとルクレールに抜かれてしまうだろうことも分かってきた。そのため、損失を減らすために、新しいインターに交換した」
タイトル争いのライバル、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は2位でフィニッシュしたため、ハミルトンは選手権首位の座を失い、フェルスタッペンと6点差の2位に落ちる結果となった。
■メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
ルイス・ハミルトン 決勝=5位
11番グリッド/タイヤ:インターミディエイト→50周目インターミディエイト
悔しい一日になったが、こういうこともある。11番グリッドからスタートして、3番手まで上がった時には、好調だと感じていたし、このままいければ素晴らしい結果になると思った。
こういうコンディションで戦略上の判断を下すのはとても難しい。僕はもともとリスクを負って戦いたい人間なので、3番手まで上がった時、皆と違って新品インターへの交換をせずに走り続けることを狙っていた。もしもスリックに交換するチャンスが出てきたら、ポジションを上げることができると考えたからだ。
でもその後、チームはピットストップをするという判断を下した。ドライバーは、チームに頼り、彼らの選択を受け入れ、それが正しいものであることを願う。いつも言っているように、僕たちはチームとして勝ち、チームとして負けるのだから。
今週末はマシンが素晴らしかった。今日、バルテリ(・ボッタス)は素晴らしい仕事をしたね。今後のレースでも今回のようなパフォーマンスを発揮できるなら、シーズン終わりに良い位置に立つことができるだろう。