親が外出するとき、子供にお金を渡して「これで好きなものを注文しなさい」と出前を頼ませることは昔からあった。今だと「お留守番の間、Uberで好きなものを頼みなさい」と言うことがあるようだ。(文:飯配達夫)【連載第10回】
頼りにならない位置情報、利用客に正しい場所を聞こうとすると……
これ自体は時代の移り変わりという話だが、実は小さな子どもから注文を受けると、悲惨な結果に終わるケースがある。一番ヤバいのが「現在位置に配達してください」→「GPSがズレていた」というケースである。
昨年あたりから改善された感はあるが、以前はGPSの精度がもっと酷い時期があった。当時は配達アプリが示す地図上の配達先表示がまったくアテにならず、数ブロック離れていることなど日常茶飯。ピンが500メートル、ズレていることも。
やっかいなのが、GPSの位置情報がズレているのに気がつかず、利用客が配達先を「現在位置」に設定するケースだ。これだと、自宅から離れた位置が「配達位置」として指定されてしまう。当然、場所が分からないので、配達員としては利用客に連絡して、正しい場所を教えてもらうしかない。
こんなとき、連絡先が「留守番中の小さなお子さま」で、住所をうまく説明してくれないと、もう詰んでしまうのだ。毎度おなじみ「近所の出前」なら、なかったトラブルかもしれないが……。
もしかしたら親が遠く離れたところから子供たちのために注文している場合もあるのかもしれない。それでも現場に子供たちしかいない以上、状況は同じだ。小さな子どもに留守番をさせることが少ないアメリカでは、こういう使い方が想定されていなかったのかもしれない。だが日本では、起こるべくして起こったトラブルだと思う。「走りながら考える」というやり方は、時として罪つくりである。