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紙ドライバーFのへなちょこ試乗日記 第2回 受注3万台! トヨタの新型SUV「カローラクロス」ってどんなクルマ?

2021年10月09日 11:11  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
またまた、トヨタ自動車から新型SUVが登場した。今度は「カローラ」がベースの「カローラクロス」というクルマだ。こんなにSUVの選択肢が増えると、かえって各車の立ち位置が微妙になるのでは…などと思いながらカローラクロスに乗ってみると、これはこれでいいクルマなのだからトヨタには驚かされる。


○トヨタのSUVラインアップ、さらに充実



「カローラクロス」は12代目カローラのファミリーとしてトヨタが開発したグローバルカー。2020年にタイで発表し、このタイミングで日本に導入した。なぜ日本発売がタイより遅いのかトヨタに聞いてみると、市場投入の時期は「各地の車種ラインアップをかんがみて」決めているとのことだった。



日本での受注台数は、10月5日時点で約3万台に達しているとのこと。月間販売目標が4,400台だから、かなり好調だ。購入者の世代は幅広く、20代~60代の顧客に「均一に」選ばれているという。SUVやミニバンから乗り換える人が多いそうだ。「カローラ」といえば「顧客層の若返り」が急務のクルマだと思っていたのだが、SUVの登場で若年層の掘り起こしが進むかもしれない。


海外仕様と日本仕様では違うところがある。大きな違いはデザイン、とりわけ顔つきだ。


なぜ海外と日本でデザインを変えたのか。トヨタによれば「タイや中南米などではタフでラギッドなSUVが求められているので、力強さを押し出したデザインを採用した一方、日本においては都会的な上質さ、洗練されたSUVが求められるので、少しフォーマルなイメージが持てるデザインに変更した」とのことだ。



ほかに日本仕様だけの特徴としては、オプションで大型のパノラマルーフが付けられることや、ハイブリッドで4WDの「E-Four」が選べることなどがある。


○ハイブリッドの走りは爽快!

試乗したのはハイブリッド「S」の2WD。車両本体価格275万円に「パノラマルーフ」など全部で36万円強のオプションが付いて、計311万円強というクルマだった。



■試乗した「カローラクロス」(Sグレード、ハイブリッド、2WD)の概要

・ボディサイズ:全長4,490mm、全幅1,825mm、全高1,620mm、ホイールベース2,640mm、最低地上高160mm

・エンジン:直列4気筒、排気量1,797cc、最高出力98PS、最大トルク142nm

・モーター:フロントは72PS、163Nm、リアは7.2PS、55Nm

・車両重量:1,380kg

・燃費:26.2km/l(WLTCモード)



実物を見ると、意外に大きくて立派なクルマだ。横幅が1,825mmだから、そう感じるのかもしれない。日本で売っているクルマは、1,800mm以内に収まっていることが多いからだ。なので当然、走ってみても横幅の広さを多少は意識してしまう。車内が広々としているので気分はいい。



ハイブリッド車の走りは、なるべく電気で走ろうとしてくれているような気がするほど、モーター走行の領域が広いと感じた。特に走り出しは静かでスイスイと進み、その状態が走り出してからも長く続いた。立派な見た目のSUVなのに、走り出しに重苦しさを感じないので爽快だ。乗り心地としては、なんとなく柔らかいような感じがする。後席に乗っているときは、大きめの段差で少しぐらっときた。



車内の雰囲気としては何も不足を感じない代わりに、特に目立つようなものも少なかった。気に入ったのは、オプション装備の大きなパノラマルーフ(電動サンシェード&挟み込み防止機能付、11万円)だ。かなり後ろまで開くので、後席に乗っているときの開放感は開けると段違いになる。試乗中は昼も夜も開けっ放しで楽しんだ。


試乗では都内の一般道と首都高を走ったが、横幅にもすぐに慣れたし、電動感のある走り出しも気分がよくて文句なしだった。純正ナビは付いていなかったが、iPhoneをつなげば「apple carplay」がすぐに起動するので、標準装備のディスプレイオーディオでナビを見ながらドライブできた。「radiko」でラジオを聞いたり音楽をかけてみたりもしたが、音質は普通で不満はない。車内が静かだから、よく聞こえた。


トヨタのSUVラインアップは選択肢が豊富だが、キャラで分けると大体、都会派の「ハリアー」「ヤリスクロス」、タフなキャラクターの「ランドクルーザー」「RAV4」「ライズ」、個性派の「C-HR」といった感じになる。新たに加わったカローラクロスは都会派のタフガイ、といった感じだろうか。



小型車「ヤリス」をベースとするヤリスクロスに比べると、カローラクロスは大きい分、広さや積載性などが魅力となる。C-HRに比べれば見た目がオーソドックスなので、デザイン的な守備範囲は広そうだ。サイズ、キャラ、価格を幅広く、かつまんべんなく取りそろえるトヨタの全方位型SUVラインアップにおいて、カローラクロスはうまく間隙を縫う(あるいは隙間を埋める)存在となっているように見える。



最近、自動車の納期はコロナと半導体不足の影響で長くなりがちだが、カローラクロスについては、グレード・仕様により異なるものの大体2~3カ月で届くとのことだ。



紙ドライバーF かみどらいばーえふ 生活するには自動車が必須な北陸の某県で生まれ育ちながら、運転免許証の取得後は都会暮らしとなったため、これまでに一度も自家用車を所有したことのないペーパー(紙)ドライバー。すでにマニュアルトランスミッションの操作方法もおぼつかないが、ひょんなことから自動車業界を取材することとなった。 この著者の記事一覧はこちら(紙ドライバーF)