2021年10月09日 09:31 弁護士ドットコム
夕食で焼きそばを出したら、ダメなのか? 10月4日深夜に放送の「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)で取り上げられた一般男性の離婚理由をめぐり、ネット上で議論が沸騰した。
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番組の街頭インタビューに応じた男性は、最近食べたごちそうとしてローストポークをあげた上で、結婚生活には食事が「大事大事、絶対大事だと思う」と語った。さらに、前妻との離婚理由について「『なんで離婚したの?』って聞かれると、『夕飯に焼きそばが出たから』っていう」、「焼きそばがダメじゃなくて、焼きそばだけがダメなの」などと加えた。
番組が放送されると、ネットの掲示板やツイッターなどでも話題に。男性に対して「それぐらい誰でもできるだろ 元奥さん離婚してよかったね」など、批判も相次ぐ事態となった。
果たして、一方が「夕食に焼きそばが出たから離婚したい」と離婚を請求した場合、裁判所はどう判断するのか。理崎智英弁護士に聞いた。
「夫婦による話合いによる離婚が難しい場合、調停を申し立てて、裁判所での話し合いになります。調停でも話合いがつかない場合には、訴訟を提起する必要がありますが、離婚請求が認められるためには、不貞(浮気)や暴力などの法律上の理由(民法770条1項)が必要になります。
今回のケースで言えば、『婚姻を継続し難い重大な事由』(民法770条1項5号)を検討することになります。『婚姻を継続し難い重大な事由』がある場合とは、夫婦関係が破たんして回復の見込みがない場合です。
しかし、夕食に焼きそばが出てきたことだけでは『婚姻を継続し難い重大な事由』には当たらないのは当然です。
むしろ、夫が家事に努力することなく、文句ばかりを言っているために夫婦関係が破たん、回復の見込みがないとして、妻の側からの離婚請求が認められてしまう可能性さえあるでしょう」
【取材協力弁護士】
理崎 智英(りざき・ともひで)弁護士
一橋大学法学部卒。平成22年弁護士登録。東京弁護士会所属。弁護士登録時から離婚・男女問題の案件を数多く手掛ける。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com