2021年F1第16戦トルコGP初日、フリー走行1回目の開始と同時に、メルセデスがルイス・ハミルトンのパワーユニットのうち、ICEとエキゾーストに新品を投入したことを発表した。このうち、ICEは今シーズン最初の4基目となるため、10グリッド降格のペナルティが科せられることとなる。
じつは前日の木曜日に、メルセデスのチーフレースストラテジストのジェームス・ヴァレスは「これからの5戦のうちにルイスのパワーユニットのいずれかに4基目を投入するのは間違いない」と語っていた。
F1にパワーユニットが導入されて以降、常に最強の座に座り続け、昨年も年間3基で賄ってきたメルセデス。しかし、今年はすでにチームメイトのバルテリ・ボッタスがイタリアGPとロシアGPで相次いで4基目と5基目を投入したのに続いて、今回はタイトル争いを繰り広げているハミルトンのパワーユニットにも4基目を投入したことに、パドックでは衝撃が走っている。
ヴァレスは今シーズン、レギュレーションの規約を超えてパワーユニットを投入しなければならなくなっている理由を次のように説明した。
「TD37の影響が大きいと思う」
TD37とは、2020年のイタリアGPからFIAによって発行された『技術司令37条』のことで、おおまかに言えば、予選と決勝レースを同じモードで走行しなさいという内容だ。
これにより、これまでのように予選ではエンジンをパワーアップして走行させてポールポジションを獲り、レースでは耐久性を考えてパワーダウンさせるという使い方ができなくなった。
つまり、この事実は今年のレッドブル・ホンダが序盤戦からメルセデスと接戦を演じ、予選だけでなくレースでもプレッシャーをかけ続けている証左でもある。