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アルピーヌ、LMDhでのWEC参戦を発表。2024年開始のプログラムはF1チームとの相乗効果も利用

2021年10月06日 12:11  AUTOSPORT web

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アルピーヌのLMDhプログラム発表に登場した(左から)ピエール・フィヨンACO会長、アルピーヌのローラン・ロッシCEO、シグナテックのフィリップ・シノー代表
10月5日、アルピーヌは将来のスポーツカーレース・プログラムについてアナウンスを行い、2024年からLMDhプラットフォームを用いてWEC世界耐久選手権の最高峰カテゴリーであるハイパーカークラスに参戦することを確認した。

 現在行われている2021年シーズンのWECにおいて、特別に許可された旧式のLMP1ノンハイブリッドマシンで同クラスを戦っているアルピーヌ。1978年のル・マン24時間レースで勝利を挙げているフランスのブランドは、今年8月に行われた第89回大会でワン・ツー・フィニッシュを飾ったTOYOTA GAZOO Racingに次ぐ3位表彰台を獲得したのち、耐久レース・プログラムの継続を検討してきた。

 アルピーヌのスポーツカープログラムについては、同メーカーがWECハイパーカークラスに参戦が可能なル・マン・ハイパーカー(LMH)規定、もしくはACOフランス西部自動車クラブとIMSAのコンバージェンス(収斂、収束の意)によって誕生したLMDh規定、そのどちらを選ぶにせよ、近年の成功をともにしたパートナーであるシグナテックとの提携によって実現すると目されていた。

 果たしてそれは現実のものとなり、ルノー傘下のブランドは競争の激しいLMP2カテゴリーで2013年と翌14年にELMSヨーロピンアン・ル・マン・シリーズのタイトルを勝ち取り、WECでは2016年と19年の2シーズンで戴冠。さらにル・マンでは3度のクラス優勝を収めた組織と、今度は次世代規定であるLMDhの分野でふたたび手を取り合うことになった。

 また、アルピーヌは2013年以降のスポーツカーレースで一貫して使用し続けてきたシャシービルダー、オレカとのパートナーシップを継続することを発表。同じくフランスのメーカーであるオレカのLMP2シャシーをベースに設計する2台のマシンには、ビリー-シャティヨンで開発されたアルピーヌ製エンジンが搭載される。なお、このパワーユニットは彼らがF1で培った専門知識の恩恵を受けることになるという。

 アルピーヌF1チームとの関連性は、ベースのLMP2カーから規定で許された範囲内で自由に変更できるボディワークの設計にも及び、モータースポーツの中心的な要素である空力に関するエンストンの専門知識が生かされることで、ここでもF1チームとのシナジー効果を得ることが可能となる。

■アルピーヌとシグナテックは2024年までのWEC参戦計画も検討

「アルピーヌの耐久プログラムは、モータースポーツに対するブランドのコミットメントと野心を強調するものだ」と語るのは、アルピーヌのローラン・ロッシCEO。

「F1とエンデュランスレースの両方に参戦することで、アルピーヌはモータースポーツの最高峰であるF1と耐久レースの両方に参加する数少ないブランドのひとつになる」

「私たちはF1と耐久レースにおいて技術的な相乗効果を最大限に活用し、名だたるライバルたちに対して優位に立つことができるだろう」

 アルピーヌがハイパーカークラスでLMDhを選択したことは、このブランドの狙いと経済的な分野で理にかなっている。

 ACOによって確立された新しいレギュレーションにより、アルピーヌはLMP2ベースのハイブリッドマシンでLMHを選択したトヨタとグリッケンハウス、2022年に登場予定のプジョーとバイコレス、さらに2023年から参加すること発表しているフェラーリといったライバルメーカーと対等に渡り合い、総合優勝を争うことが可能となる。

 また、カスタマーチームへの車両販売も容易であることがLMDhの魅力のひとつであり、今回発表された計画によってアルピーヌは少なくとも今後4年間、耐久レースへのコミットメントを確保することができた。

 シグナテックを率いるフィリップ・シノーは、「我々はLMDhに参入するアルピーヌのパートナーに選ばれたことを非常に誇りに思っている。これは、8年前に始まった共同プロジェクトの集大成だ」と語った。

「私たちはこれまで以上に大きな野心を持っており、このコラボレーションを別のレベルに引き上げることができてうれしく思う」

「モータースポーツの世界で32年のキャリアを積んだ後、情熱を持ち勝利のためだけに生きるブランドであるアルピーヌとともに、世界でもっとも権威のあるコンストラクターに挑戦することを楽しみにしているんだ」

 アルピーヌとそのパートナーであるシグナテックは、2024年までの耐久レース・プログラムの継続について検討を開始した。アウディ、ポルシェ、アキュラ、BMW、キャデラックに続く6番目のLMDhメーカーとなる彼らは、LMDhでのシリーズ参戦に向けて最善の準備をするためにWECに参加し続けたいと考えているが、現時点では具体的なプログラムは明らかにされていない。