2021年10月05日 11:21 弁護士ドットコム
岸田文雄・新首相の誕生へとつながった9月の自民党総裁選では、論点の一つとして選択的夫婦別姓制度が取り上げられるなど、制度に対する関心は高まりつつあります。
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今年6月、最高裁は夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は憲法に違反しないという判断を示したほか、ほかの夫婦別姓を求める訴えについても相次いで退けています。
弁護士ドットコムが一般会員1524名を対象に選択的夫婦別姓制度に関する意識調査を行ったところ、選択的夫婦別姓制度の導入については、「賛成」が約4割、「どちらかといえば賛成」が約2割となり、あわせると6割以上が制度に賛成していることがわかりました。
自由回答には、賛成する人たちからの「反対する合理的理由がない」という声が並ぶ一方で、「名前が変わることをうれしく思ってほしい」(30代男性)、「別姓が嫌で結婚しないなら、その程度の愛」(50代男性)といった根強い反発の声も集まりました。
調査は今年8月、弁護士ドットコム一般会員を対象にウェブアンケートを実施し、1,524名(男性887名、女性629名、性別不明8名)から回答が得られました。
選択的夫婦別姓制度の導入については、「賛成」が44.2%。「どちらかといえば賛成」(19.1%)とあわせると、63.3%が賛成していることがわかりました。
一方で、「反対」は11.4%、「どちらかといえば反対」(9.4%)とあわせると、20.8%の人が反対しています。
回答には、男女差もみられました。
「賛成」(男性:35.4%、女性:56.4%)と「どちらかといえば賛成」(男性:19.6%、女性:18.4%)をあわせると、女性は74.8%に達しますが、男性は55.0%でした。
また「反対」(男性:15.7%、女性:5.2%)と「どちらかといえば反対」(男性:12.6%、女性:5.1%)は、あわせて男性は28.3%、女性10.3%となりました。「賛成」の割合が高かったのは、30代女性(61.7%)、20代男性(44.9%)でした。
改姓することの多い女性のほうが姓を変えるデメリットを想像しやすいため、女性に「賛成」の割合が高く、男性は当事者性に乏しいことや別姓による弊害を感じているため、反対の割合が女性に比べて高いのかもしれません。
夫婦の姓で最善と思われる制度をたずねた質問では、最多の回答は「選択的夫婦別姓」(46.9%)で、続いて「結婚前の旧姓使用を『通称』として法的に認める」(20.9%)、「現状の制度(夫婦同姓)」(16.3%)となりました。
この他、「戸籍は統一するが、家裁への届出により旧姓を法的に認める(婚前氏続称)」(10.6%)、「ミドルネーム(別姓併記)」(5.3%)と答えた人もいました。
夫婦の姓をめぐる制度として、選択的夫婦別姓だけでなく、類似した制度である婚前氏続称や通称使用にも賛成する声が集まっており、現状の制度の改善を望む人たちも多くいることがわかりました。
次の衆議院選挙で投票する際、候補者の選択的夫婦別姓に対する姿勢を重視しますか?という設問に対して、「どちらとも言えない」(26.4%)と答えた人が最多でした。
「重視する」(18.0%)、「どちらかといえば重視する」(22.7%)の計40.7%に対して、「重視しない」(20.3%)、「どちらかといえば重視しない」(12.5%)は計32.8%で、意見が割れています。
自由回答には、選択的夫婦別姓制度を求める切実な声や、反対する声が並びました。また賛成、反対を問わず、子の姓をどのように決めるのかと指摘する声も相次ぎました。
・「反対する合理的理由がない」(30代未婚男性・賛成)
・「事情あり、別姓が法整備されることを期待し、やむなく一時的に法律婚契約をしましたが、あまりにも別姓が実現しないため、時期を見て事実婚にする予定です」(40代法律婚女性・賛成)
・「別姓でもその子に不都合がないよう立法してほしい」(40代法律婚男性・どちらかといえば賛成)
・「離婚2回していますが、離婚した際に旧姓に戻しづらいので別がよい」(40代離婚または死別し、現在は独身女性・どちらかといえば賛成)
・「名前が変わることをうれしく思ってほしい」(30代法律婚男性・どちらかといえば反対)
・「子どもが産まれたらどちらの姓にするのか。相続やお墓の問題も出てきそう」(30代未婚女性・どちらかといえば反対)
・「別姓(制度がないの)が嫌で結婚しないなら、その程度の愛だということ。そういう人は結婚すべきではない」(50代法律婚男性・反対)
・「家族としての絆や同一姓となる責任感を持つ意味で必要」(50代事実婚男性・反対)