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西洋と日本の服装史の良いとこ取り 「ドリス ヴァン ノッテン」「イッセイミヤケ」出身者が新ブランドを立ち上げ

2021年10月04日 10:52  Fashionsnap.com

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「テルマ」2022年春夏コレクション Image by: TELMA
中島輝道が手掛けるウィメンズブランド「テルマ(TELMA)」が2022年春夏シーズンにデビューする。 中島は「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」や「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」で経験を積んだデザイナー。ヨーロッパと日本のメゾンで培った技術と、西洋と日本の服装史からヒントを得た和洋折衷のアプローチが持ち味。ブランド名はデザイナーの愛称であり、「意思」という意味を持つ言葉だ。ユナイテッドアローズやエディション、バーニーズ ニューヨークなどでの取り扱いが決まっている。

 デビューシーズンの今季は、「光」をテーマに、画家のクロード・モネ(Claude Monet)による代表作「睡蓮」などの印象派絵画が着想源になった。チュールとチェックの布帛を重ねることで表情を出したドレスや、「儚さ」を表現した線香花火の写真をプリントしたデニムスカートやトップスなど印象派のアートをイメージしたラインアップ。日本の伝統的な技術も取り入れ、有松絞りを袖や裾に施したトップスやドレスも目を引く。可能な限りサステナビリティに配慮した素材を選んでおり、リサイクルポリエステルやオーガニックコットンなどを多用。カラーパレットはすみれやラベンダーなど日常にある花の色から採用している。

 服装史からのリファレンスも特徴的だ。1947年にクリスチャン・ディオール(Christian Dior)が発表した「ニュー・ルック」の普遍的なシルエットを、「テルマ」流にニットのペプラムジャケットと、フレアのエプロンドレスに再解釈。また平安時代の十二単からアイデアを得て、レーザーカットしたチュールを12枚重ねて、アーガイル柄を再現するなど、長く愛されているアイテムを現代流にアレンジした。
 価格帯はトップス3万2000~6万3000円、ボトムス3万9000~9万8000円、ドレス4万5000~12万5000円、ジャケット6万4000~7万9000円、アウター7万5000~9万8000円。

 中島デザイナーは石川県金沢市出身。2010年にアントワープ王立芸術アカデミーBAを卒業後、「ドリス ヴァン ノッテン」ではウィメンズのアシスタントデザイナーを6シーズン務めて帰国。14年にイッセイ ミヤケに入社し、ウィメンズの「イッセイ ミヤケ」とメンズの「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」で企画や素材開発を担当してきた。20年に独立し、中島デザインオフィスを設立。約2年の準備期間を経て、「テルマ」を立ち上げた。
 中島デザイナーは「ブランドスタートと決めた時から 『作る責任』を意識した物作りをしたいと考えてきた。コレクションは1着1着愛情をこめて、職人の手仕事によって生まれている。1シーズンで終わる服ではなく、タイムレスなデザインであり、長く着ていただけるような工夫をしたい。例えば、数年後にアイテムが不要になったら、回収して新しい商品へと作り変えるようなシステムを構想中。大量生産大量消費ではない、インディペンデントブランドだからこそできることがあると思う。ニッチなストーリーを持って、パーソナルに寄り添う服をデザインしていきたい」と語る。