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『名探偵コナン』青山剛昌はカーマニア? キャラクターたちの愛車がこだわり満点だった

2021年10月02日 17:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『コナン』キャラクターたちの愛車

 『名探偵コナン』の作者である青山剛昌はかなりの車好きとして知られている。その趣味は作品にも如実に影響を及ぼしており、劇中には実在する様々な自動車、それも名車ばかりが愛のある丁寧な筆致で描かれている。今回はそんな『コナン』に登場する自動車たちをプレイバックしてみたいと思う。


フォルクスワーゲン・タイプ1
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 阿笠博士の愛車であり、「ビートル」という愛称でコナン達からは呼ばれている1台。『名探偵コナン』で最も登場する自動車のひとつではないだろうか。その愛称の理由である愛らしい丸っこいフォルムが印象的だが、パンクや故障といった憂い目にも幾度となく遭遇しており、そのトラブルがキッカケにコナン達が事件に巻き込まれることも多々。そのフォルムもトラブルも含め、阿笠博士のキャラクターにもピッタリな車両だと感じる。半世紀以上生産が続けられた唯一無二の乗用車として自動車業界でも他にない名車として未だに記憶にも記録にも残る1台だが、2003年には生産が終了しており、今となっては故障が頻発するのも仕方ないのかもしれない。


ポルシェ356A
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 黒の組織のメンバー・ジンの愛車であるポルシェ356A。ボディカラーはもちろん黒。1955年から59年まで生産された正真正銘のクラシックカーだ。ポルシェがドイツの車メーカーということもあってか、ジンは「ドイツの雨カエル」と評している。初登場は24巻の「黒の組織との再会」。下校途中のコナンと灰原がジンの車を見つけて追跡するが……というエピソードだが、追跡にあたってコナンが発信機と盗聴器を仕掛けるために、変形させた針金ハンガーを窓の隙間から差し込んで鍵を開け車に乗り込むという大胆な技を披露している。もちろんこれは旧車のポルシェ 356Aだからこそ成せる技であるし、ポルシェやポルシェ以外のクラシックカーに対しても絶対に真似してはいけないが、こういう細かな知識に青山剛昌の自動車愛も感じてしまう。


マツダ RX-7 FD3S
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 公安警察、私立探偵、黒の組織の3つの顔を持つ安室透の愛車……だけでなく、警視庁刑事部の警部補、佐藤美和子2人の愛車。安室が白、佐藤が赤と、それぞれ異なるカラーの車両を使用している。特に安室透の仕様する白のRX-7はそのスタイリッシュかつスピーディなフォルムが、安室のどこかミステリアスでクール、かつ胸に秘めた情熱を彷彿とさせる。安室の運転するRX-7の助手席に一度は乗ってみたいと妄想を膨らませたファンも多いのではないだろうか。


 多くのコナンファンにとって印象的なのは劇場版アニメ『ゼロの執行人』での活躍だろうが、コミックではスピンオフ作品の『ゼロの日常(ティータイム)』でも安室のRX-7が活躍している。特筆したいのは第1巻収録の「舌をかまないように」。ストーリーとしては妃法律事務所の秘書である栗山緑が妃の無敗記録を祝うパーティに遅刻。間に合うために安室がRX-7で送り届けるという、一見すると「日常」らしいエピソード。しかし読み進めてくと時間に間に合わせる為に安室がドライブテクを駆使しまくる、躍動感溢れる描写が惜しみなく展開される。特に水没したガードを抜けるために壁走りを披露するシーンでは、狂気的な目をした安室とアクション映画さながらに水を切りながら壁を走るRX-7を楽しむことができる。また同じく第1巻収録の「綺麗にしてやる」では安室によるRX-7の手洗い洗車も描かれる。


 原作では使用者が2人も登場し、映画、そしてスピンオフ作品でも描かれるRX-7。ここまで『コナン』に登場し続けるのは、他ならぬ作者である青山剛昌の愛車がRX-7だからだろう。青山は黒いRX-7を所有し、自身のイベントでも展示したことがあるという。自身が愛用し、思い入れも深い1台だからこそ、その愛が作品にも反映されているのだろう。


 『コナン』に登場する自動車の数々。そのどれも一筋縄ではいかない旧車や作者の愛を感じるセレクトばかりである。そのチョイスからはストーリーとは直接関係のない要素にも並々ならぬこだわりと愛情を注ぎ込む青山剛昌の姿が思い浮かぶ。その細部への情熱と愛こそが100巻を目前に27年以上連載を続ける秘訣なのかもしれない。


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