すっかりおなじみの光景となったUber Eats配達員の姿だが、そのリアルな実態は知られていない。2017年から兼業配達員を続け、6000件を配達したライターの飯配達夫さんに、当事者しか知らない赤裸々エピソードを寄稿してもらった。(文:飯配達夫)【連載第8回】
敬遠される「熟成案件」をうっかり受けてしまった。
どう考えてもシステム構築のミスだと思うのだが、UberEatsには重量制限がないようだ。
1度すごい注文に遭遇したことがある。ローソンからのピックアップで2リットルのペットボトルが25本。1本約2キロだから合計50キロになる。重いモノを運び慣れていない人がうっかり受けたら、ギブアップするしかない。
ボクはちょっと魔が差した感じで、このオーダーを受けてしまった。折り悪く注文が途切れているタイミングで、距離の方も1キロ程度。どんな人間がこういう注文をするのかも、ちょっと気になった。
実は、Uberの配達料は距離ベースで、個数や重さは考慮されていない。つまりタピオカドリンクを1個運んでも、50キロのペットボトルを運んでも料金や報酬は変わらない。なぜこんな料金体系にしたのか、理解に苦しむばかりである。
「スーパーで安く買うとか、アマゾンで買って配達してもらう方がお得だよな……。急ぎで50本も必要ないよな……」と思いながら運んだが、ふつうは「熟成案件」確定のケースである。
この「熟成案件」というのは配達員用語で、たらい回しにされていつまで経っても配達員が決まらない注文のことを言う。UberEats はあくまでもマッチングサービスなので、配達員には注文をスルーする権利がある。ドハマリしそうな案件は敬遠されて、いつまで経っても配達員が決まらないままになる。
それにしても50キロの重量感はハンパなかった。バッグが壊れてもおかしくない重さである。それでも配達料金は400円そこそこ。どう考えても割に合わない案件だった。
このオーダーは運良く?完了したが、こういう地雷案件はいつまでも運んでもらえない可能性が高い。いくらシステム上、可能だったとしても配達員の限界を試すような注文はやめてほしい。