2021年F1第15戦ロシアGPで、ホンダF1の『レースチームコーディネーター』として、チームスタッフの移動や機材の物流などロジスティック面を担当しているグラハム・スミス(イギリス/61歳)が、F1参戦通算600戦を迎えた。
1981年にF1の世界に足を踏み入れたスミス。ブラバム、ヤマハ、ホンダと渡り歩いたベテランが、最も多くの時間を過ごしたのがホンダだった。
ホンダの山本雅史マネージングディレクターは「ホンダがグラハム・スミスさんと600戦を迎えられたのはうれしい。ホンダF1のすべてにおいて助けてもらっているので感謝しかない」と、レース前に600戦記念ケーキをスミスへプレゼントした。
ホンダのスタッフのなかで最も多くの時間をスミスと過ごしてきた田辺豊治F1テクニカルディレクターは「彼の経験が我々の活動に非常に活きています」と語り、次のように感謝の言葉を贈った。
「今回2015年に復帰した際は、ホンダのパワーユニットは何度もトラブルに見舞われ、その都度日本にエンジンなり荷物なりを送り返していましたが、そのような緊急の物流でも、日本とのコミュニケーションを含めた彼の経験は、我々にとって非常に助けになっていました」
スミスにとって、600戦のなかには忘れられない思い出がいくつもあるが、そのなかでも最も忘れられないのは「ジェンソン(・バトン)が優勝した2006年のハンガリーGP」だという。というのも、当時スミスはレースチームコーディネーターを務めつつ、ピットウォールでバトンへサインボードを出す役も兼務していたからだ。
ホンダと共にレースをするのは、残り7戦。2006年のハンガリーGPを上回るような思い出に残るレースを期待したい。