春園ショウ「佐々木と宮野」の朗読劇が、去る9月12日に埼玉・ところざわサクラタウンのジャパンパビリオンホールAで開催された。本記事では夜の部の模様をレポートする。
【大きな画像をもっと見る】女顔がコンプレックスの腐男子・宮野由美、宮野のことを気に入っている不良な先輩・佐々木秀鳴ら男子高校生たちを描く「佐々木と宮野」。2022年1月にはTVアニメの放送も決定している。朗読劇では佐々木秀鳴役の白井悠介、宮野由美役の斉藤壮馬、腐女子な彼女を持つ宮野のクラスメイト・暮沢丞役の新井良平が出演したほか、宮野が所属する風紀委員会の先輩で佐々木のクラスメイト・平野大河役の松岡禎丞が声のみで登場。1年生から3年生にかけて少しずつ距離が縮まっていく佐々木と宮野の日常が、3幕構成で展開された。
2人が出会う場面の原作カットがスクリーンに映されたのち、朗読劇の第1幕目「文化祭」がスタート。第1幕目では宮野と佐々木が一緒に文化祭を回るシーン、宮野のモノローグによる後夜祭の様子、佐々木が宮野に告白する場面が描かれた。文化祭を回るシーンでは、中庭で買った焼き鳥を「あーん」と差し出す佐々木に対し、BLの黄金ネタだと焦った宮野が「さっきみたいな行為はアウトです」と注意を促すエピソードが展開される。後夜祭ではスクリーンいっぱいに打ち上げ花火の演出が盛り込まれ、佐々木ともう少し一緒に過ごしたかったと振り返る宮野の感情を、斉藤が繊細な演技で表現した。続いて原作カットより、電車で寝ている宮野に佐々木が「好き」と告白するシーンなどが映し出される。普段通りの会話をする2人や、佐々木が宮野に直接告白するエピソードを挟みながら、それぞれの感情に揺れ動くさまが、白井と斉藤のかけ合いによって丁寧に描写された。
第2幕目「個人面談」では風紀委員室で宮野を待つ暮沢が、佐々木に相談を持ちかけるエピソードを展開。BLの感想を彼女にどう伝えたらいいか悩んでいるという暮沢に、佐々木は「思ったことをそのまま話せばいい、お互いの考えや気持ちを知れることが大切だ」とアドバイスをする。暮沢と合流し、その話を聞いた宮野は「先輩はすごく優しい」と深く同意。そこから、宮野が佐々木への気持ちに気付いていく心情や、佐々木が宮野を好きになったきっかけなどが次々に描かれ、遂に宮野から佐々木へ告白をする場面へとつながっていく。第3幕「水族館デート」では、気持ちを通じ合わせた佐々木と宮野の、初々しいやりとりが繰り広げられる。帰りの電車で「みゃーちゃん、好き」と真面目に告げる佐々木に、宮野が「俺も好きです」と耳打ちして返す甘酸っぱいエピソードが盛り込まれた。
朗読劇の終演後には舞台挨拶が行われ、白井・斉藤・新井が再び登壇。演じた感想について白井は、水族館のシーンでアドリブを入れた途端、むせてしまったことに触れ「本当はもう少しアドリブを入れるはずだったのに、『そこまでだ』と神からストップがかかった」と打ち明ける。これに対し斉藤は「これが生の朗読のよさですよね、昼の部では起きなかったので」とフォロー。松岡からは「胸がキュンキュンするような、背中に何かが這っているようなムズムズする気持ちを思い起こさせてくれます」と、メッセージが届けられた。
最後に放送を控えるアニメについてもコメントが。新井は「原作をあますことなく、むしろ膨らませる勢いで仕上がっているので、原作ファンはもちろん初めて観る人も楽しめるはずです」と語り、白井は「朗読劇では少し先の内容も盛り込まれていましたが、2人が今日のような関係に辿り着くまでのプロセスを楽しんでいただけたら」とアピール。斉藤は「論理的にではなく、いろんな情感を抱きながら作品にシンクロしてもらえると、すごく色彩鮮やかに見えると確信しています。原作と合わせて楽しんでもらえたら幸いです」と呼びかけ、イベントは締めくくられた。
■ TVアニメ「佐々木と宮野」
2022年1月放送開始
□ スタッフ
原作:春園ショウ(『佐々木と宮野』MFCジーンピクシブシリーズ / KADOKAWA刊)
監督:石平信司
助監督:上野壮大
シリーズ構成:中村能子
キャラクターデザイン:藤井まき
美術監督:黛昌樹
色彩設計:桂木今里
撮影監督:近藤慎与
編集:白石あかね
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
音響制作:スタジオ・ドンファン
音楽:澁江夏奈
音楽制作:日本コロムビア
アニメーション制作:スタジオディーン
製作:「佐々木と宮野」製作委員会
□ キャスト
佐々木秀鳴:白井悠介
宮野由美:斉藤壮馬
平野大河:松岡禎丞
小笠原次郎:小野友樹
半澤雅人:内田雄馬
暮沢丞:新井良平
田代権三郎:市来光弘
(c)2022 春園ショウ/KADOKAWA/「佐々木と宮野」製作委員会