今季ヨーロッパ最後のレースとなった3連戦でレッドブル・ホンダは2勝を挙げ、ドライバーズ選手権で再びマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が首位を奪還、コンストラクターズ選手権でもメルセデスとの差を詰めることに成功した。一方で3連戦最後のイタリアGPではアルファタウリ・ホンダも含め、期待した結果が出せずに終わった。
最終戦までアウェイのレースとなる今後はいっそう激烈な戦いが続くことが予想されるが、そんななかホンダは新たなエナジーストア(ES)の順次投入を行ってきた。「さらなる高効率化と軽量化」に成功したとされる新型エナジーストアへの期待を、ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターが語ってくれた。
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──今回からヨーロッパ外のレースが始まります。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):はい。先週までの3連戦では、最初の2戦は(マックス・)フェルスタッペンが勝利を挙げたものの、モンツァ(イタリアGP)ではリタイアを喫しただけでなく、ペナルティも科されてしまいました。アルファタウリの2台は、レース自体ほとんどできずに終わりました。このところ4台が揃って、いい形でレースを終えることができずにいます。今後はそれぞれがパフォーマンスを発揮し、レース完走、そしていい結果を残せればと願っています。
──後半戦では、新たなエナジーストアを投入しました。
田辺TD:まずフェルスタッペン、次に(セルジオ・)ペレス、そして(ピエール・)ガスリーの順で投入してきました。バッテリー開発は非常に時間の掛かるもので、量産車の先行技術など様々なノウハウを蓄積してきました。いわばオールホンダの開発支援、そして英国ミルトンキーンズのファクトリーも頑張り、本来なら来季投入予定だったものを前倒しで投入することができました。非常に厳しい戦いが続くなか、できることはなんでもしたい。その思いから、計画を早めました。
──高効率化と軽量化に成功しているとのことですが、既存モデルに比べてどこまで性能向上に成功しているのでしょうか?
田辺TD:具体的なことは言い難いのですが、たしかに昨年まで電気的な部分が弱点でした。そこはMGU-K、MGU-Hの改良でかなり追いつけました。バッテリーはそれとは別の部分ですが、高効率化ということで差は詰められたと考えています。さらに軽量化によって、車体パフォーマンスにも寄与しています。
──性能面では、予選よりもレースでの改善が見込めるのでしょうか?
田辺TD:両方で効率が上がっている、効果が出ていると考えています。
──軽量化については、車体の重量配分が変えられるほどの改良ですか?
田辺TD:決して小さいものではありません。
──リチウムバッテリーは重量あたりのエネルギー量はほぼ一定なのですが、そこで何かいいものが見つかったのでしょうか? あるいはシステム的に全体の軽量化がうまくいったということですか?
田辺TD:材料的にはホンダの研究所の技術が投入されています。年度途中のアップデートということで、旧型との互換性を考えないといけなかったです。とはいえ、その制限内での組み合わせ、そして材料そのものの進化、新材料の投入ですね。そのあたりを含め、全体的な進化を果たせています。