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【レースフォーカス】10カ月ぶりのレースでドヴィツィオーゾがヤマハYZR-M1に感じた印象とは/MotoGP第14戦サンマリノGP

2021年09月23日 08:20  AUTOSPORT web

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アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ペトロナス・ヤマハSRT)
MotoGP第14戦サンマリノGPで、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ペトロナス・ヤマハSRT)がヤマハからMotoGPに復帰した。ドヴィツィオーゾにとって、ヤマハのバイクによるレースは実に2012年以来のことだ。ドヴィツィオーゾは9年ぶりに乗ったヤマハYZR-M1にどう取り組み、どう感じていたのだろうか。
 
 ヤマハのファクトリーチーム、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPからマーベリック・ビニャーレスが去り、このシートにフランコ・モルビデリが起用されたことで、空いたペトロナス・ヤマハSRTの一席に抜てきされたドヴィツィオーゾ。左ひざのけがから復帰したモルビデリとともに、サンマリノGPからの参戦となった。
 
 2020年のシーズン後、ドゥカティを去り「2022年以降のMotoGP参戦の可能性を模索する」として“長い休暇”に入っていたドヴィツィオーゾ。35歳のベテランライダーの復帰に、木曜日には単独会見が行われた。
 
 今季、ドヴィツィオーゾに供給されるのはヤマハYZR-M1のAスペックで、2019年型仕様に近いと言われているもの。ただ、2022年シーズンにはファクトリースペックのバイクを走らせることが決まっている。
 
「今年大事なのはバイクのポジションの面でいいフィーリングを見出すこと、そしてバイクを理解することだ」とドヴィツィオーゾは2021年、残り5戦に向けた挑戦について述べていた。

「以前のバイクとはまったく違う方法で乗らないといけないだろう。時間がかかるだろうね。まずはポジションだ。バイクよりも(ライディング)ポジションのほう懸念しているよ。ポジションがとれるようになったら、攻めて、フィードバックを提供することになるだろうね。今のMotoGPは、とてもタイトだ。理由はいくつかあるけどね。みんな、スピード面でかなり近い。でも今は心配はしていないよ」
 
 ドヴィツィオーゾが冷静にそう語ったとおり、ドヴィツィオーゾは走行を重ねてじっくりと確実にタイムを縮めていった。フリー走行1回目ではトップのマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)から2.545秒差の24番手、ウエットコンディションとなったフリー走行2回目はトップのヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)から2.433秒差の21番手。翌日の土曜日にはフリー走行3回目でトップのフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)から1.138秒差の20番手、予選Q1ではこのセッションでトップのエネア・バスティアニーニ(アビンティア・エスポンソラーマ)から1.222秒差で24番グリッドという結果だ。
 
 ドヴィツィオーゾは初日を終えて9年ぶりのYZR-M1についてライディング・ポジションやバイクの大きさが違うと指摘していたが、土曜日にはその走りについてこう述べた。
 
「ブレーキングと旋回はかなりいい。ただ、本当に速く走るためには旋回中にとても速く走らないといけないし、かなりのスピードでトラクションエリアに到達しなければならない。僕が過去やっていたこととはかなり違っている」

 迎えたレースウイークは最後尾グリッドからスタートして、5度のトラックリミット違反により、ロングラップ・ペナルティが科され、24位。しかし、今回のレース、特に後半のペースは満足のいくものだったようだ。「10カ月もレースをしていなくて、安定したレースができて、最後には速くなった。ハッピーだよ」とレース後、ドヴィツィオーゾは語っている。
 
「まずはレースウイークについて話そう。多くの情報を得たから、よく前進したと思う。たくさんドライコンディションで走れたからね。ウエットでもね。ヤマハを理解するのがとても大事だった」

「レース前には、僕は集団の中で走っていられるスピードがなかった。でも、レースでは集団の中で走っていられたんだ。特に、ミスをして(ロングラップ・ペナルティを科されたあと)ペースがすごくよくなった。フリー走行よりもかなり速く走れた。そして、残り2周でベストラップを記録した。レース中にバイクのフィーリングが変わったからなんだ」

「フリー走行では、ブレーキング・ポイントで苦労していたのだけど、レース終盤では、それがよくなった。ただ、どうしてよくなったのかを(チームに)聞かないとね。そうしてから、旋回中や立ち上がりといったこのバイクのポテンシャルを使うことができると思う」

 ドヴィツィオーゾはヤマハのバイクで今季、優勝、表彰台を獲得してチャンピオンシップをリードするファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)の走りについて「ファクトリーチームのバイクと(自分のバイクが)どのくらい違うのかわからないけれど、それは別として、ファビオだけが何かすごいことをしている」と述べ、YZR-M1の印象についてこう解説している。
 
「確かな方法でかなり深いブレーキングをして、スピードを上げてコーナー中間に入っていかないといけない。これが、ポテンシャルを上げる唯一の方法だ」

 ドヴィツィオーゾにとっては、今季は2022年の布石となるはず。願望叶ってMotoGPに復帰を果たした経験豊富なドヴィツィオーゾ自身の結果がどう上昇していくのかも気になるが、同時に分析力に定評のある彼の加入によってヤマハの開発がどう進んでいくのかということも気になるところだ。