2021年09月23日 08:01 弁護士ドットコム
行政や民間などで利用されている「顔認証システム」について、日弁連は9月21日、法的な規制をもとめる意見書を国に提出した。
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同副会長の佐谷道浩弁護士は9月22日の定例会見で「日本においては顔認証に関する法規制が基本的にはない。現在、顔認証システムは行政、民間でも広く使われるようになったので、警察に限らず、広く法規制をするべきだ」と話した。
意見書では「顔写真による本人確認で用が足りるにもかかわらず、ことさらに顔認証データの収集及び照合利用をすることは、その取扱いの必要性がないから許されるべきではない」とする。
また、重大組織犯罪の捜査の場合に限定した法律を定めることなく実施される、警察による顔認証システムを利用した捜査や、医療機関受付での個人番号カードを用いた顔認証システムの利用、個人番号カードを健康保険証・運転免許証と紐付けることにより顔認証データの利用を著しく拡大させることなどについて、中止を求めている。
さらに、意見書では「不特定多数者」に対する顔認証システムの利用については、行政、民間を問わず、市民のプライバシー権等が不当に侵害されないよう、次の項目について「厳格な規制」の必要性があると指摘する。
(1)明示の同意のない顔認証データベース等の作成及び顔認証システムの利用
(2)例外的に行政機関や民間事業者等が顔認証データベース等を作成し顔認証システムを利用することができる場合の厳格な条件
(3)個人情報保護委員会による実効的な監督
(4)顔認証システムに関する基本情報の公表
(5)誤登録されている可能性のある対象者の権利保護など
また、不特定多数ではなく、特定の人物に対する顔認証システムなどについても、行政、民間ともに、「市民のプライバシー権等が不当に侵害されないように、(次の)要件を満たす場合に限定されるべき」だとした。
・許容する明確な法律が存在すること
・同意していない者に対し、顔認証システムが適用されないこと
・同意に任意性があり、同意しなくても他の方法を選べることなどにより不利益を受けないこと
・設置者が、個人情報保護委員会に、顔認証システムを設置利用していることを届け出ること
意見書は、日弁連のサイト(https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2021/210916.pdf)で掲載している。