2021年09月21日 13:11 弁護士ドットコム
ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんから性暴力被害にあったとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審における第1回口頭弁論が9月21日、東京高裁であった。即日結審し、判決は2022年1月25日に言い渡される。
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伊藤さんはこの日、意見陳述をおこない、性被害や被害者バッシングという2次被害が決して許されないものなのだというメッセージが広がることで、新たに被害者が泣き寝入りしなくてよい社会になることなどを、裁判で訴えたかったと述べた。
一審での主な争点は、性行為の同意があったかどうかだった。伊藤さんは、山口さんから意思に反して性行為をされたと主張。一方で、山口さんは「同意があった」として性的暴行を否定していた。
一審の東京地裁判決は、山口さんの供述について「不合理に変遷しており、信用性には重大な疑念がある」と指摘。伊藤さんの供述から、山口さんが合意のないまま性行為に及んだと認定し、330万円の支払いを命じた。
また、伊藤さんがおこなった記者会見などについて、山口さんは名誉毀損だとして慰謝料など1億3000万円と謝罪広告を求めて反訴していたが、「公共性および公益目的がある」として棄却していた。
伊藤さんは口頭弁論期日後、東京地裁前で報道陣の囲み取材に応じた。この日出廷し、あらためて性的暴行を否定した山口さんの主張について、「ショックが大きすぎるので、どう感じていいのかわからない」と話した。
法廷でのやり取りを受けて、「実は、この場に立ってお話をするのができるかわからなかった。数分間深呼吸して、この場に立っています」と涙ながらに話した。
取材に応じることについて、「(原告・被告)どちら側でも構わない。みなさんの立っているところから今回の件がどう見えるのか、なにができるのかを一緒に考えて欲しいからです」とその意義を語った。
伊藤さんの代理人によると、控訴審では新たな主張等はされておらず、一審と同様、性行為の同意があったかどうかなどの事実関係が主な争点になる。
伊藤さんは、今回のケースを「リトマス紙」にたとえ、「裁判でどのような結果がでるのか、今後の司法のあり方をどう見るのかというところに、みなさんには目を向けていただきたいと思っています」と話した。