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ニクラス・グロンホルムが初日制覇。王者クリストファーソンも今季初優勝/WorldRX第4戦・第5戦

2021年09月21日 13:11  AUTOSPORT web

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ニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SET World RX Team)が初日土曜に急上昇を見せ、アクション満載のオープニングデイを制覇し今季初優勝
9月18~19日に、2021年シーズン初の“ダブルヘッダー”戦が開催されたWorldRX世界ラリークロス選手権第4/5戦は、ここ2戦不調が続いていたニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SETワールドラリークロス・チーム)が初日土曜に急上昇を見せ、アクション満載のオープニングデイを制覇し今季初優勝。続く日曜は、こちらも開幕4戦で度重なる不運に見舞われて来た3冠王者ヨハン・クリストファーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)が、シーズン初勝利を手にしている。

 イベント開催直前になり、2016年の世界王者であるマティアス・エクストロームがALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツに電撃加入し、セアト・イビーザRXスーパーカーをドライブすることが決まるなど、華やかなニュースで幕を開けたリガダブルヘッダー戦。高速トラック、ビチェルニエク国際スポーツベースでのイベントは、2021年に入り開幕3戦連続で“兄弟ワン・ツー”を達成しているティミー&ケビンのハンセン・ブラザーズを止めるドライバーが現れるかに注目が集まった。

 その筆頭候補と目された2017、2018、そして2020年王者のクリストファーソンは、初日公式練習からQ1ヒートで最速を記録する快調な滑り出しを見せ、トラブルやアクシデントに泣かされた序盤4戦の汚名返上を期すドライビングを披露する。

 また、Q2ヒートではその3冠王者の宿命のライバルとして、ラリークロス界に確固たる地位を築いた2016年チャンピオンのエクストロームが、初ドライブのセアト・イビーザでトップタイムを記録するなど、マシンの戦闘力が一線級にまで熟成されたことを示すスピードを発揮した。

 そのふたりに割って入るように、Q3で最速としたのがヒュンダイi20RXスーパーカーのグロンホルムで、セミファイナル1を制したクリストファーソンに対し、ケビン・ハンセン(プジョー208 WRXスーパーカー/ハンセン・ワールドラリークロス・チーム)やティモ・シャイダー(セアト・イビーザRXスーパーカー/ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ)らを降し、同じく6周のセミファイナル2を全体最速のタイムで勝利し順当にファイナルへと駒を進めた。

 フロントロウに並んだクリストファーソンのアウディとグロンホルムのヒュンダイは、オープニングラップのターン1で明暗クッキリの展開となり、グロンホルムの接触により弾かれたクリストファーソンはスピンを喫し、このバトルが実質的な決着に。

 鋭いラウンチで2番手に進出していたシャイダーもジョーカーラップへ進入する直前にトラブルでレースを終え、最終的に今季ここまで全戦でファイナル進出を果たしているクリスティアン・サボー(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SETワールドラリークロス・チーム)をパスしたティミー&ケビンのハンセン兄弟が表彰台の脇を固めるリザルトとなった。

■【動画】WorldRX第4戦/第5戦リガ(ラトビア) ダイジェスト

「勝てて気分が良いし、今日は満足している。最初からスピードは良かったしね。Q2はうまくいかなかったし、正直に言うと決勝が僕自身最高のドライブだとは思わなかったけれど、スタートで状況が好転してくれたね」と、2021年最初の勝利を手にしたグロンホルム。

「オープニングのような事件はたまに起こることのひとつに過ぎない。その後、ペースを維持するのに少し苦労したけれど、ジョーカーを消化した後に、こんな大きなギャップがあることに驚いたよ」

「(スポッターを務めた)ユッシ(・ピノマキ代表)が『楽に、落ち着いていけ』と声を掛け続けてくれた。スペインとスウェーデンのシーズン幕開けは厳しいもので、第3戦フランスでわずかに正しい方向への兆しを感じた。そして僕らの運はここでついに結実したんだ」

 明けた日曜のダブルヘッダー第5戦も、そのグロンホルムとクリストファーソン、そして前日セミファイナルでは接触によるパンクで勝機を逸していたエクストロームが、入れ替わり立ち替わりで最速タイムを奪取する展開に。

 とくにここラトビアでは過去5戦で優勝か2位の経験しかないというエクストロームにとっては、まずファイナル進出が至上命題となった。

 一方、予選ヒートでひとつも最速タイムを記録しないままセミファイナル2に進んだクリストファーソンは、ファイナルに向けふたたびフロントロウを確保してグロンホルムのヒュンダイと肩を並べると、前日の借りを返すとばかりにアウト側から主導権を握ることに成功し、そのまま独走。グロンホルムとティミーを従え、キャリア通算25勝目を飾る快心のレースを見せた。

「今年はこれまでのところ余裕がなかったが、今日は僕らの日であり、とても気持ちがいい。久しぶりの感覚だね」と、こちらも今季初勝利となったクリストファーソン。

「シーズンスタートからペースは順調だったが、物事は順調に進んでいかなかった。最終的に勝利を収められたのは、KYB EKS JCのチーム全体にとって素晴らしいことだ」

「決勝では非常に良いスタートを切り、リスクを犯してターン1でリードを奪いにいった。コクピット内では最初の数コーナーで多くのことが起こっていて、ターン2では大きく切ったパワーステアリングがロックアップし、一瞬スピンモードに陥った。でもそれは、2021年にはかなりの頻度で"いつものこと"だったから、問題なく対処できたよ(笑)」

 この結果、ランキング首位を行くティミーとケビンのポジションは変わらないものの、その背後につけるクリストファーソンが3点差にまで肉薄。さらに3点差の4位にはグロンホルムが浮上している。

 この後、WorldRXは3週間のインターバルを経て、10月8~10日の開催を予定するWorldRX第6戦はベルギーのスパ・フランコルシャンを舞台に争われる。