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「在宅勤務で夫婦関係が悪化」「失職した夫が子に暴力」相談会に集まった女性のSOS

2021年09月21日 10:21  弁護士ドットコム

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7月に開かれた女性のための相談会で、コロナ禍を機に夫が在宅勤務になったことで夫婦関係が悪化したなど、親族・家庭関係に関する相談が多く寄せられたことがわかった。この他にもDVやモラハラ、解雇・雇止め・パワハラ、性暴力被害など多くの深刻な相談が寄せられたという。


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第二東京弁護士会(会長:神田安積弁護士)と「女性による女性のための相談会実行委員会」が実施した「女性による女性のための相談会」(後援:東京都、開催:7月10、11日)。9月14日にオンラインでの報告会が開かれ、弁護士からは「法律を使っても、裁判をしても解決しない問題が多かった」という声があがるなど、さまざまな角度からの支援が重要であるとの指摘がなされた。



●「弁護士として解決が難しい問題が多かった」

相談会は東京・秋葉原で行われ、相談を担当する弁護士も相談員もすべて女性が担当した。



寄せられた相談は「親族・家庭関係」が4分の1をしめ、そのうち離婚にまつわる相談が3割と最も多かった。解雇案件(派遣切りを含む)についても、不当解雇を争い職場復帰を求めるものより、「収入や生活の安定を望んで転職を希望しているが、再就職が叶わない」という悩みが多かったという。



特徴的な相談事例として、次のようなものがあったという。



「コロナの影響で夫が在宅勤務となり、夫が家にいる時間が増えて、夫と同居していることに耐えられなくなった。子供が成人したら離婚したい。DVはないが、会話がなく、また、夫は全く家事をしてくれない」



「子どもたちに対する夫の暴力が悪化。物を投げたり、学費を払わないと宣言したりする。昨年失業して以来、夫の精神が不安定で悪化した。夫と別れて子どもたちと一緒に暮らしたいが、方法がわからない」



「緊急事態宣言のため勤務先の店舗の経営が厳しくなって閉店となり、今年失業。退職理由を自己都合にされたので、失業保険がすぐにもらえない。幼い子どもと生活が不安である」



「コロナ禍のため仕事が激減した。勤務シフトが確定していないという理由で休業補償を払ってもらえない。正社員になりたい。コロナのせいで仕事が激減して不安定になってしまい、どこから手を付ければよいのかわからなくなって相談に来た。利用できそうな制度やセーフティネットがあれば教えてほしい」



当日、相談に対応した弁護士たちからは「弁護士として解決が難しい問題が多かった」「弁護士として法律的な回答はできますが、女性の苦しい立場については寄り添いが重要だと感じました」という声があがった。