すっかりおなじみの光景となったUber Eats配達員の姿。街のあちこちで見かけるものの、そのリアルな実態は知られていない。2017年から兼業配達員を続け、6000件を配達したライターの飯配達夫さんに、当事者しか知らない赤裸々エピソードを寄稿してもらった。(文:飯配達夫)【連載第2回】
困っちゃう話「配達先がわからない」
集合住宅なのに、配達先の住所や部屋番号の記載がない客がいる。場合によっては建物名も書いていないケースがある。
部屋番号がないので一戸建てだと思い、現場付近を探してみたがそれらしい家がない。電話してみたところ、集合住宅だと分かった……。
配達員ならみんな頷いてくれるだろう。あるあるエピソードなのだ。
住所がない?
よく似たパターンとして、集合住宅の物件名と部屋番号だけで住所の記載がない」という場合もある。
これは上記のパターンの派生バージョンだ。最近は遭遇する確率がぐっと減ったが、2018年、19年頃はしばしばお目にかかった。利用者が慣れてきたのもあるだろうが、Uberのシステムにもおかしなところがあったのではないかと思う。
Uberのシステムには、「住所付近の大きなビルやマンションに引きずられて、勝手に関係ない建物の名前を表示する」というありがた迷惑な機能がある。
利用者に入力した覚えはないにもかかわらず、システムが余計な物件名を追記してくるのだ。最悪な場合、住所表示は真っ白で建物の名前と部屋番号が書かれているだけ。しかもその建物名はデタラメ、ということが起こりうる。
エントランスでピンポンしたところ「うちは頼んでいませんよ!?」と言われたときの決まり悪さときたら……!
この「勝手に近くの物件名を住所表示する」仕様には一定の法則があるようで、大抵の場合、すぐ隣の番地の大きな物件を自動的に表示してくる。しかし一度だけお隣の小さなビル(確か3階建てくらい)が表示されたこともあるので、まったく油断ならない。
似たパターンとして「建物名が2つ表示される」ということもある。どちらの物件名が正解なのか、神のみぞ知るである。