9月10~12日、北の大地を舞台にJRC全日本ラリー選手権第9戦『RALLY HOKKAIDO(ラリー北海道)』が開催された。シリーズの最高峰クラスに参戦しているTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、2台のトヨタGRヤリスGR4ラリーを持ち込み今大会に出場。勝田範彦/木村裕介組が2021年シーズン2勝目を飾った。一方、眞貝知志/箕作裕子組はマシントラブルに見舞われた影響で初日にデイリタイアを喫している。
新型コロナウイルスの影響で8月20~22日に開催が予定されていた第8戦横手ラリーが中止になったため、選手権は夏の間に約2カ月のインターバルが生まれることとなった。
今シーズンからJN1クラスにステップアップを果たし、新型マシンGRヤリスGR4ラリーを投入しているTGRはこの期間を利用し、ラリー北海道を想定した集中的なグラベル(未舗装路)テストを実施。第7戦『ラリー・カムイ』を完走した車両のダメージを精査し、このテストで得られた知見を踏まえて駆動系を中心に改良を施した。
迎えたラリー北海道は例年と比べて大会規模が縮小されたものの、シリーズ屈指と言われる難易度の高さは健在だ。その競技初日、GRヤリスGR4ラリーを駆る勝田はSS3でベストタイムをマークすると、SS5で僅差ながら総合首位に浮上する。
続くSS6でふたたびステージトップタイムを記録した勝田は、初日の走行を終えた段階で2番手とのギャップを9.2秒とした。
3本のSSが設定された最終日、勝田はオープニングのSS9で今大会3度目のベストタイムを記録。残るふたつのSSも安定したペースで走りきり、前戦ラリー・カムイに続く連勝を飾った。
チームメイトである眞貝駆るGRヤリスGR4ラリーは、SS1走行中にギアボックストラブルが発生した。SS2を走り終えたところでリタイアを余儀なくされたが、その後チームがギアボックスを交換。眞貝は翌日に再出走を果たしラリーを完走している。
「優勝とリタイアというとても複雑な結果となりました」と今戦を総括するのは、豊岡悟志チーム監督。
「もっとも厳しいラリー北海道で、トラブルを抱えながらもGRヤリスを優勝に導いてくれた勝田選手は見事で流石としか言い様がありません。普通では考えられないことが起きましたが、メカ、エンジニアの努力に運も味方してくれたのかもしれません」
「一方で4WD運転の習熟が著しく、距離を重ねることが重要な眞貝選手に満足に走ってもらえず、大変申し訳なく残念です。今回もさまざまな学びが得られ、次に向け改善して挑みます」
■勝田「チャンピオンの可能性も見えてきたが、結果は後からついてくる」
トラブルに見舞われた眞貝は、「今回のラリー北海道はとても悔しいラリーになりましたが、最終日はチームの皆さんがクルマを万全に修復してくれたおかげで気持ちよく走ることができました」とコメント。
「私も無事にクルマを持ち帰ることができたので、次のターマックラリーに向けて、予定どおりの車両準備作業ができるはずです。チームの努力もありGRヤリスGR4ラリーは走るたびに進化しています。自分自身もそれに見合う走りをしていきたいと思っています」
シーズン2勝目を連勝で飾った勝田は、その勝因を次のように語った。
「チームがGRヤリスGR4ラリーをどんどん改良してくれたことで、ラリーを通して気持ち良く走ることができました。今回はそれが一番の勝因だったと思います」
「前戦と比較すると、とくに駆動系が改善したことで、高速コーナーでも躊躇なくアクセルを踏めるなど、素晴らしいフィーリングでした」
「チャンピオンの可能性も見えてきましたが、僕らは一戦一戦大切に戦うことが大事で、結果は後からついてくると考えています」
TOYOTA GAZOO Racingが迎える全日本ラリーの次戦第10戦は、10月15日から17日にかけて岐阜県高山市を中心に開催される『第48回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2021』だ。同イベントはターマック(舗装路)で実施される。