メルセデスのチーム代表トト・ウォルフは、ルイス・ハミルトンはパワーユニット(PU)のエレメント交換によるペナルティを受けることなく今シーズンを走り切れる可能性もあるが、トラブルによるリタイアのリスクを冒すつもりはないと語った。
2021年のF1レギュレーションでは、1台のマシンが1シーズンに使用できるパワーユニットのエレメントの基数は、エンジン(ICE)、MGU-H、MGU-K、ターボチャージャーは3基、エナジーストア、コントロール・エレクトロニクスは2基、エンジン・エキゾーストシステムは8基に制限されており、これを超えるとグリッド降格ペナルティを受ける。
シーズン後半に入り、戦略的な交換を含み、制限基数を超えてペナルティを受けるケースが出てきている。第14戦イタリアGPでは、メルセデスが金曜にバルテリ・ボッタスのパワーユニットに問題を発見、新しいエレメントを入れることで、ボッタスは決勝をグリッド最後方からスタートした。
タイトルを争うレッドブル・ホンダはアクシデントによる損傷でパワーユニット交換を避けられない状況にあり、すでにペレスは第13戦オランダGPで予選後方に沈んだ際に、新たなエレメントを導入し、ペナルティを消化した。フェルスタッペンについては、今後交換を行う見込みだが、イタリアGPの段階では、タイミングは未定だとチームは述べている。
一方、ハミルトンはオランダGPのFP2においてパワーユニットトラブルに見舞われたが、これは最も古いものだったという。イタリアGPではフェルスタッペンとのクラッシュがあり、チームはマシンのダメージの状況を調査している。最初に軽くチェックした段階ではパワーユニットは無事であると思われるとメルセデスは述べている。
ウォルフ代表は、ハミルトンの今後のパワーユニットプランについて聞かれ、「絶対に(交換を)行わなければならないというわけではない。今のパワーユニットでは非常に快適に走っているからだ」と答えた。
「いつ決断することになってもおかしくはないが、現時点ではその必要性を感じてはいない」
「つまり4基目は投入しないつもりなのかというと、そうではない。今後のレースがどうなるかを見ていくよ」
ただ、トラブルでリタイアするようなリスクを冒すことは避けると、ウォルフ代表は述べている。現在のところ今シーズンは合計22戦が予定されており、残り8戦の段階で、ハミルトンはフェルスタッペンに5点差をつけられている。
「1位と2位の点差とファステストラップポイントを考えると、1回リタイアすると、追いつくのに4戦かかる。これはかなり厳しい。(リタイアしなかった方は)4回2位が続いてもいいわけだ」とウォルフは言う。
「従って、パフォーマンスを諦めず、安全策をとる必要がある」