2021年09月15日 18:01 弁護士ドットコム
コロナ禍で収入が減った事業者らを対象とした「持続化給付金」について、給付要件を満たしているのに不支給にされたとして、全国の個人事業主や中小法人あわせて89事業者が9月15日、給付などを求めて東京地裁に提訴した。
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訴状などによると、原告らの申請には名古屋市の税理士法人Impactが関わった。「中抜き批判」で、2020年9月1日に給付金事務局が変わる前は、個人事業主と法人合わせて200件以上の申請すべてが認められたが、新事務局になってからは254件中139件で不支給になったという。
職種や属性が似たケースでも判断が分かれていることがあり、中には同じ団体に所属するスポーツ選手など、収入先が同じで結論が分かれているケースもあるという。
不支給となった事業者の中には廃業したり、名前が出ることに抵抗を感じたりして、原告に加わるのを断念した事業者もいるという。
同法人代表社員で行政書士でもある大箸直彦税理士は、提訴後の記者会見で「審査に不手際がある。ミスを認めて是正してほしい」と話した。
飲食店を経営しているという原告の一人は、「真面目に営業を自粛して、申請も真面目にやっている。周りの同業者はもらえているのにどうして自分はもらえないのか。理由の説明もなく納得できない」などと訴えた。
持続化給付金は、個人事業主なら上限100万円、中小法人なら上限200万円が支給される。約441万件が申請され、約424万件に支給されているという。
原告側代理人の吉峯裕毅弁護士は、不正受給問題を受けて審査が厳しくなっている可能性があるとしつつ、困窮する事業者を迅速に支援するという給付金の趣旨に反した取り扱いだと指摘する。
そのうえで、「支給されるべきでない人に支給するのはまずいが、支給されるべき人に支給されないのはより問題だ。不合理な理由で不支給となっている人がまだいるのではないか」と話した。