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阪急うめだ化粧品売り場がコロナ禍でOMOを加速 1~6月で売れたコスメは?

2021年09月10日 12:42  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

(右)HANKYU BEAUTY LABOサイトイメージ、(左)原田 和也 阪急うめだ本店 ビューティー営業統括部 化粧品EC企画部 ディビジョンマネージャー
百貨店化粧品売り場で最大級の売上を誇る阪急うめだ本店。コロナ以前からブランドとタッグを組み、阪急うめだ限定品や先行品を数多く揃え、またデジタルにおけるファン作り、さらにはデジタルと店頭、そして館外イベントスペースを活用した循環型の取り組みで、コスメ好きが集まる土壌を創出してきた。そんな阪急うめだもコロナは予想せぬ出来事で大きな打撃を受けたが、原田 和也ビューティー営業統括部 化粧品EC企画部 ディビジョンマネージャーは、「コロナ禍でワクワクする売り場は作れても、お客様が享受することが難しい状況になった。しかしコロナ以前からデジタルをもっと活用するOMOを進めなければと思っていたので、早期に進められる機会を得られた」と語り、この1年半をチャンスに変えるべくOMO戦略を加速してきた。

 2021年1~6月の売上は、店頭は前年同期比横ばい。ECは昨年に続き、19年同期比約3倍の成長をキープし、前年同期比100%程度で着地し、デジタルの貢献は大きい。同店がデジタル上で目指したのは、店頭同様に「ユーザーが楽しめる情報とコンテンツの拡充」。その一つが、コスメ通販サイト「HANKYU BEAUTY ONLINE」だ。「これまでカタログ的だったので、メディア化を目指した」と方向性を一新。ビューティオンライン内に設置した「HANKYU BEAUTY LABO」では、元美容部員のECスタッフがブランド横断でレビューするなどのコラム記事を配信する。「新作はもちろん、既存商品も紹介することで提案の幅が広く複数購入に繋がっている」と語り、単にコラムで終わらせず、紹介している商品にECに繋がるリンク付きをつけることで購入までの導線をスムーズにしている。また、LABO以外でもライブ配信のアーカイヴやインスタグラム投稿にアクセスでき、同社が発信するビューティ情報の総合サイトの役割を果たしている。

 そして“楽しめるコンテンツ”は、積極的な動画配信も同様だ。インスタライブやYouTube「HANKYU BEAUTY CHANNEL」は、店頭を起点にブランドとタッグを組み配信。いずれも売り場の美容部員が登場し、商品の紹介やハウツー、サービス体験を親近感のあるテイストで配信することで、新客獲得にも貢献。また、店頭の接客が制限された中で、美容部員の新たな活躍の場にもなっている。

 1~6月の売上好調ブランドを見ても、デジタルの施策が奏功し前年同期比2ケタ成長するブランドも多い。「シャネル(CHANEL)」は、3月にフレグランスシリーズ「チャンス」のバーチャルポップアップイベントを実施し新客も獲得。オフラインコンテンツをECサイトでも体験できる施策を随時展開することで好調に推移している。「ディオール」は2月に、店頭の大規模リニューアルに合わせてインスタライブを行いオフライン・オンラインでの発信を強めた。そのほか「アルビオン(ALBION)」や「イプサ(IPSA)」、「エレガンス(Elegance)」、「ポーラ(POLA)」などで「パワーのある商品に人気が集まっている」という。
 下期に入ってからは新たなデジタル企画として7月に「HANKYU BEAUTY SCHOOL」を始動した。コロナ前は美容部員やプロのメーキャップアーティストなどによるセミナーを店頭で開いていたが、こういう状況下となりデジタルを取り入れてオープン化し顧客との接点を拡大。「参加ユーザーは美容に対して熱意に溢れている。今後は商品企画やサービスにユーザーの意見を反映するなど、双方向のコミュニケーションの構築も視野に入れる」という。

 またECをはじめとしたオンライン施策には引き続き力を入れ、現在約10%ほどのEC化率を高める計画だ。現状では利便性の部分に課題があるとし、キャッシュレス決済の幅を広げるほか、親会社のエイチ・ツー・オー リテイリングが業務提携しているローソンとの協業で、コンビニ受け取りサービスを構想中。そのほか、大きな商戦であるコフレの店頭とデジタルの相互企画も進行中で、7~12月のEC売上は前年同期比50%増を目指す。


■HANKYU BEAUTY LABO:公式サイト