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安くてかわいい! VWが小さなEVのコンセプト「ID. LIFE」を発表

2021年09月10日 11:31  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
フォルクスワーゲンはドイツの国際的な自動車ショー(IAA MOBILITY)で小さな電気自動車(EV)のコンセプトカー「ID. LIFE」を発表した。このまま市販化されるかどうかは不明だが、「ホンダe」に負けないキュートな見た目で400kmの航続距離を備えるこのEVが2万ユーロからという価格で発売となれば、かなり魅力的な商品となるはずだ。


VWは2021年3月に発表した「ACCELERATE戦略」(VWの電動化および自動運転に関する包括的な戦略)において、当初の計画よりも2年早い2025年までに、スモールカーセグメントの「ID.」モデルを約2万ユーロからという価格で発売すると公言していた。そのコンセプトモデルがID. LIFEなのである。



ちなみに「ID」とは、VWの新世代EVファミリーのこと。これまでにいくつものコンセプトモデルが公開されていて、「ID.3」については間もなく納車が始まるとのことだ。IAAには「ID.4」のクーペ版「ID.5 GTX」も出展されている。

○ルーフを外せばオープンカーに!



「ID. LIFE」は都市における未来のコンセプトカーだ。それを踏まえて、まずデザインから見てみよう。



スタイルとしては、典型的なスモールカーセグメントの5ドアハッチバックである。プロポーションは力強くてシンプルだ。同セグメントのクロスオーバーモデルを再解釈したような姿といえる。ひとつの大きな塊から削り出したようなボディには、装飾的なエレメントやアドオンパーツが一切装着されていないため、デザインそのものがサステナブルな車両のコンセプトを強調している。


エクステリアは水平基調のボディ、ウィンドウ面、ルーフによって構成されている。2層の「エアチャンバーテキスタイル」から成るフロントボンネットとルーフは、ジップファスナーでボディに取り付けてあり、必要に応じて取り外すことができるとのこと。エアチャンバーエレメントによる軽量なルーフを取り外せば、タルガスタイルでの開放感のあるドライブが可能になる。

明確な形状、控えめなカラーが印象的なID. LIFEのインテリアデザインと素材選択は、モダンな家具からヒントを得て、意図的にバリエーションの数を制限しているそうだ。ダッシュパネル、フロントウィンドウ、リアシート、リアウィンドウの周囲には、コンポーネントの輪郭に沿って、本物のウッドパネルのフレームを装着している。


リアシートの背もたれはリクライニング可能で、フロントシートの背もたれも前方に倒せる。これにより、車内をゲームや映画を楽しむための快適なラウンジに変化させたり、車中泊のためのスペースにしたりすることができる。シートレイアウトの組み合わせによっては、サーフボードや長さ2.25mまでの大型スポーツ用品を収納することも可能だ。

○「MEB」をベースにした初の前輪駆動EV



ID. LIFEは、VWが主にスモールカーセグメント向けとして開発した「モジュラーエレクトリックマトリックス」(MEB)のスモールバージョンをベースとしている。MEBプラットフォームを使用し、前輪を介して駆動力を路面に伝達するVW初のEVだ。搭載するモーターの最高出力は172kW(234PS)。前輪駆動であればコンパクトな寸法の中に十分なスペースを確保できるので、効率的なインテリアの使用に有効だとVWは判断したようだ。


停止状態から100km/hまでの加速に要する時間は6.9秒、最高速度は180km/hというのがID. LIFEのパフォーマンスだ。アンダーボディにはエネルギー容量57kWhの高電圧バッテリーを搭載。フル充電で約400km(WLTPモード)を走行することができる。DC急速充電ステーションを使用すれば、10分以内の充電で最大163kmを走行することが可能だという。



内田俊一 うちだしゅんいち 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験をいかしてデザイン、マーケティングなどの視点を含めた新車記事を執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員。 この著者の記事一覧はこちら(内田俊一)