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上海のオフィス街でデリバリーロボットが急成長 コロナ禍でさらに進む宅配のDX化

2021年09月05日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 上海市内のオフィスビルで活躍するデリバリーロボットを最初に見かけたのは、コロナ感染状況が落ち着いていた2020年初夏。取材した時もスタッフが「上海市内のオフィスビルではまだ10箇所程度の導入具合」と言っていたほど、当時はかなり珍しいサービスだった。ホテルのデリバリーロボットもしかり、一部ホテルのロビーでしか見ることはなかった。


【写真】上海で急成長中のデリバリーロボットたち


 しかし、今ではいたるところで稼働するデリバリーロボットを見かけるようになる。 通常、オフィスビルでは、オフィスフロアに行くために入退場許可証の手続きあるいは毎回登録が必要になるが、セキュリテイ上のこともあり、配達員の入退場は制限されている。そのため、デリバリー商品はロビーまで届くが、その後は、注文者自身がロビーまで行きピックアップする以外に方法がなく、デリバリーとはいえ不便さを感じた。そしてデリバリー配達員にとっても注文者に手渡しすることは、デリバリー1回に対しての待ち時間が長くなり、非効率でもあった。


 そこに、このデリバリーロボットの登場である。配達員はスマートフォンでQRコードをスキャンし、情報を入力するだけでOK。スマートフォンにロボットの番号が表示されるので、そのロボットを探して商品をセットすればよい。ロボットに商品をセットすると、あとはロボットにお任せ。


 ロボットは、注文者に対してプッシュメッセージを発信し、注文者の返信を受けてか ら、オフィス内へ出発する。配達員もデリバリー時間を短縮できるので、配達量を増やすことができ収益も上がる。コロナ禍下であれば、できるだけ非接触で、不特定多数の人との接触も避けたいところ。


 これまでは、ロボット上部にあるタッチパネルで操作するタイプが主流で、不慣れな操作に四苦八苦する配達員も多く、サポートスタッフが 2~3 名ほど待機し、操作を手伝っていた。操作にかかる時間ロスを考えると、ロボットを利用する配達員が決して多かったように見えなかった。


 現在、市内で見かけるデリバリーロボットは、自身のスマートフォンから操作できるので、 慣れているデバイス・ツールを使うことで抵抗も減る。


 さらに、デリバリーロボットの活用方法も多様化している。オフィス内まで商品を届ける役割だけではなく、スマートロッカーのような機能も備えている。ロボットから自動的に「商品到着」のメッセージが届くと、ロボットによる配達か自分でロビーまで行き、受け取るか選択できる。自分で取りに行くことを選択すると、ロボットはその場で待機するので、ロッカーのような役割を担うことになる。


 最近では、フードデリバリー用のスマートロッカーなども増えてきたが、それほど場所を取らず二通りの使い方ができるのは魅力的。オフィスビルでもロボットが違和感なく周りの風景にとけこんで、日常化している。これまでは、スタッフの手を介することが多かったオペレーションもロボットが“自立”してできるようになった。ロボットも成長しているということだろう。


 デリバリーの需要は増え続けているので、デリバリースタッフが常に不足しているような中、デリバリーロボットの活躍はますます期待できるはず。


 街中で、ロボットが稼働しているのを全く気にせず、話題にすらならないくらい普通になっていることこそ、DX化が進んでいるということなのかもしれない。(フライメディア)