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面白い漫画が読めるのは“漫画雑誌”だけじゃない 『ゴルフの微笑み。』『雨は これから』『柳生裸真剣』ら人気連載に迫る

2021年09月01日 10:11  リアルサウンド

リアルサウンド

面白い漫画が読める漫画専門誌じゃない雑誌

 漫画が掲載されるのは漫画誌だけにあらず。現在はwebやSNS発表・連載の作品も多く、一般誌や専門誌の漫画専門ではない雑誌にも注目すべき漫画はたくさんある。例えば、第2次“キン肉マン”ブームを巻き起こした『キン肉マンII世』(ゆでたまご)が最初に発表されたのは「週刊プレイボーイ」。また、高橋克典主演でTVドラマ化&映画化もされた『特命係長 只野仁』(柳沢きみお)は「週刊現代」の連載作で、やはりTVドラマでも大人気の『孤独のグルメ』(久住昌之・谷口ジロー)はもともと「週刊SPA!」の別冊「月刊PANjA」(休刊)掲載のシリーズ。さて、では今、面白い“漫画専門誌以外の雑誌で読める連載漫画”はどれか!?


関連:【画像】『オーイ!とんぼ』などの表紙


■ゴルフ雑誌の漫画


 まず印象的な漫画作品が目に付くのが、ゴルフ雑誌。その中でも「週刊ゴルフダイジェスト」連載で、天才ゴルフ少女・大井とんぼが元ゴルファーで過去を捨てた中年男・五十嵐一賀とプロの道へ進んでいく『オーイ!とんぼ』(かわさき健・古沢優)はすでに連載7年目・既巻34巻を超える人気作だ。


 また「ALBA(アルバトロス・ビュー)」では、ゴルフ漫画の先駆けとなったちばてつや『あした天気になあれ』のその後を描く『新あした天気になあれ』(信田朋嗣・政岡としや・ちばてつや)を連載中で、こちらは一般誌ながら「週刊現代」で現在、連載されているゴルフ漫画『人生はバウンスバック』(こしのりょう)も見逃せない。


 その中で出色なのが「月刊ゴルフダイジェスト」連載の『ゴルフの微笑み。』。ゴルフ愛好家の翻訳家である故・夏坂健のエッセイをゴルフ漫画も数多い、かざま鋭二が漫画化。ゴルフの凄さと怖さ、そして楽しさが伝わる逸話が描き出されていて、ゴルフを知らない人でも楽しめる逸品だ。


 車・バイク雑誌も漫画作品が多いが、「ベストカー」では山本マサユキ『ガタピシ車で行こう!!』シリーズの『ガタピシ車 おじさん危機一髪』が掲載中で、「Mr.BIKE BG(ミスター・バイク バイヤーズガイド)」では表紙絵も務める東本昌平の『雨は これから』を連載中。代表作『キリン』ではスピードに観らせられた若きバイカーたちを描いていたが、本作ではバイクと生きる中年男性の暮らしがロマンと哀愁たっぷりにスケッチされている。それこそ『ゴルフの微笑み。』と『雨は これから』は『孤独のグルメ』の趣だ。


 一方で、いい意味で侘びもサビも枯れも無縁で暴れ回っているのが、「週刊ポスト」。男性週刊誌では現在、「週刊文春」で司馬遼太郎のデビュー作を蔵西が漫画化した『ペルシャの幻術師』のほか、桜玉吉『日々我人間』と伊藤理佐『おんなの窓』のエッセイコミック、「週刊新潮」ではやはりエッセイコミックで宮川サトシ『俺は健康にふりまわされている』が掲載されているが、「週刊ポスト」で漫画を担うのはあの永井豪。そしてタイトルは、『柳生裸真剣』。出世作『ハレンチ学園』で柳生十兵衛の末裔であるヒロインを描いた作者が、柳生十兵衛は実は女性だったという新解釈で描く時代劇だ。アクションあり、バイオレンスありで、当然、エロスもあり。いやはや、これぞ漫画の醍醐味たっぷりだ。


 女性週刊誌でも73歳にしてレディースコミックの第一線を走る井出智香恵の『愛は濁流の中に―令和版羅刹の家―』(「週刊女性」)、ヒットメーカーの天樹征丸と草壁エリザによる『死ぬほど愛して』(「女性自身」)、まさにジャンルレスな活躍を見せるえすとえむの『王様の耳~秘密のバーへようこそ~』(「女性セブン」)といった注目作が目白押し。


 「女性セブン」にいたっては、嘘と秘密にまつわる同作、不倫から運命が狂い出す『これを愛と呼ぶのなら』(都陽子)、それぞれの事情を抱えるマンションの住人たちを描く『なんで結婚したんだろう』(ゆむい)と、掲載作の内容からして濃く、充実のラインナップだ。今、面白い“漫画誌連載じゃない漫画”。まずは『ゴルフの微笑み。』(夏坂健・かざま鋭二)、『雨は これから』(東本昌平)、『柳生裸真剣』(永井豪)の3作をぜひ。女性漫画に関しては、もう「女性セブン」を手に取っていただければ、上記3作でいい意味で胸やけすること間違いなしだ。