「ホンダとの50戦目のグランプリとなったベルギーGPの予選で、10年ぶりにスパでのポールポジションを獲得でき、良い1日となった」
2021年F1第12戦ベルギーGPの予選後、レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表はそう言って、マックス・フェルスタッペンのポールポジション獲得を喜んだ。
フェルスタッペンのポールポジションは今シーズン6回目、通算9回目。今回の予選ではただひとり1分59秒台をマークした。しかし、フェルスタッペンは「路面コンディションが目まぐるしく変わるなか、ラップをまとめるのが大変だった。さらにウエットコンディションだったために、タイヤの温度管理が難しく、その調整に苦労した」と振り返った。
たとえば、Q3の赤旗後のアタックでは、フェルスタッペンは3周の計測ラップを行ったが、そのうちアタックしたのは1周目と3周目だった。その理由をフェルスタッペンはタイヤの温度管理だったと説明した。
3周連続で計測ラップを行う場合に、間にクールダウンラップを入れるケースはドライコンディションでもあるが、それは回生エネルギーをチャージするため。全開率が著しく落ちるウエットコンディションでは、いわゆるデプロイ切れは起こさないため、連続してアタックすることは可能だった。
実際、チームメイトのセルジオ・ペレスは3周連続でタイムアタックを行い、2分4秒013、2分2秒112と自己ベストを更新して3周目のアタックに入ったが、肝心の最後のアタックで自己ベストを更新できずに2分2秒399に終わった。
これに対して、フェルスタッペンは1周目に2分2秒525をマークした後、2周目に2分41秒446のクールダウンラップを入れて、タイヤの状態を整えてから最後のアタックに入った。そして、その最後のアタックでは1分59秒765を叩き出して、暫定ポールポジションの座をジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)からもぎとったのだった。
そのラッセルは1周目を2分39秒362で走り、2周目で2分8秒059にペースアップした後、3周目に2分0秒086を叩き出して、ルイス・ハミルトン(メルセデス)を上回った。
「スパで雨が降るとタイヤの熱入れが重要で、このような長いコースではラップタイムに2~3秒の影響が出るんだ」と語ったフェルスタッペン。新しいスパ・マイスターが誕生した瞬間だった。