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乃木坂46 渡辺みり愛が語る、1st写真集と卒業「消極的な性格だったからこそ、私らしくいられた」

2021年08月26日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

渡辺みり愛

 乃木坂46からの卒業を発表している渡辺みり愛が8月31日に1st写真集『消極的な華やかさ』(竹書房)を発売する。乃木坂をはじめとする東京都内と、渡辺みり愛が幼少期を過ごした思い出の地である北海道・富良野を舞台に撮影を決行。大人な表情と素朴さを幅広く捉えた一冊となっている。


 プロデューサーの秋元康氏が命名したタイトルは『消極的な華やかさ』。渡辺みり愛の穏やかな人柄を的確に表した言葉の並びのように思う。タイトルをもらったとき、渡辺みり愛は“消極的”という言葉に対して何を感じたのか。また、念願だったという写真集にどのような思いを込めたのか。質問を投げかけると、控えめながらも明るく楽しげに話してくれた。(とり)


関連:渡辺みり愛、インタビューカット&これまでに公開された写真集カットなど


■ベストコンディションで挑めた念願の写真集


――渡辺さんは、昨年の『のぎおび⊿』(乃木坂46のメンバーが日替わりで配信しているSHOWROOM番組)のなかで、2020年の目標として「写真集を出したい」と話していましたね。


渡辺:“自分だけの一冊”というのに憧れがありました。自分がおばあちゃんになったとき「昔、こんな活動をしていたんだよ」って子どもや孫に見せられるような一冊が作れたらなぁと。実際にお話をいただいたときはビックリしましたけどね。いつか出してみたい気持ちはあったものの、出せるなんて思ってもいませんでしたから。不安な気持ちの方が大きかったです。


――とはいえ、念願叶ったわけです。


渡辺:はい。目標を掲げたときも、写真集の実現を楽しみにしてくださるファンの方がたくさんいて。期待を寄せてくれる方が一人でもいるなら、不安を感じる必要はない。そう思えたことで、すぐに自信も湧いてきました。今は、でき上がった写真集を早く見てもらいたい気持ちでいっぱいです。


――目標を掲げられた2020年と今とでは、コロナの影響で、活動状況に大きな変化がありましたよね。写真集に対する気持ちにも変化はありましたか?


渡辺:自粛期間をきっかけに美意識が高まりました。家にいる時間、ふと乃木坂46のライブDVDを見ていたんですけど、周りのメンバーに比べて、何だか自分が美しく映っていないような気がしてしまって……。写真集の話をいただく前の話ですが、好きなものを好きなだけ食べていちゃダメだな、かわいくなる努力をすれば、みなさんもっと私のことを好きになってくれるかもしれないなと、そこから火がついて、筋トレに取り組んだり、気になる部位に効果的なマッサージ方法を覚えたりして、自分なりに頑張っていました。筋トレの成果で腹筋がついて、自粛明け、衣装がぶかぶかになっていたほどです。スタイリストさんからも努力を褒めていただけたので、やってよかったなぁと思いましたね。


――ということは、いいタイミングで写真集のお話がきたんですね。


渡辺:そうなんです。さらに写真集を作ることが決まってからは、より一層本格的なトレーニングにも励むようになりました。まぁ、写真集を撮り終えてしまった今、その熱も控えめになってしまったんですけど(笑)。


――そんな本作のなかで、渡辺さん自身がこだわったポイントはどういったところですか?


渡辺:基本的には、周りの意見を取り入れながらコンセプトを固めていきました。ぼんやり憧れていたのは、伊藤万理華さんの写真集『エトランゼ』(集英社)。最初は、あんな風におしゃれでカッコいい雰囲気の写真集にしたいなぁと思っていたんですが、スタッフさんから「等身大の女の子らしさを全面的に出していった方がみり愛は映えるんじゃない?」と提案していただいて、そう言われると私もそんな気がしてきて。なので、私のこだわりを詰め込んだというよりは、スタッフのみなさんが思う“みり愛が映えるもの”を選ばせていただいた形になります。


――確かに、周りの意見を取り入れることで映える魅力もありますよね。それに、初ランジェリー&初水着にも挑戦されています。渡辺さんは3期生が加入する2016年までグループ最年少だったことから妹ポジションのイメージも強く、大人っぽい露出感はとても新鮮に感じました。


渡辺:そうですよね。最年少のイメージに加えて、私は背も低いので、メンバーからもファンの方からも、着ぐるみ体型なんじゃないかって思われていたんですよ。それがちょっと悔しくて。いつか絶対に「私にだって色気はあるんだぞ」ってところを見せてやりたいと思っていたので、達成できて嬉しかったです。写真集のお話をいただいたあとは、この気持ちを胸に筋トレを頑張れた部分もありました(笑)。


――本当に、今まで抱いていた渡辺さんの印象がガラッと変わるようなカットがたくさんあって、とても見応えがありました。


渡辺:私が特にお見せしたかったのが背中。背中は、私自身が、女性の体のなかでいちばん魅力を感じる部位なんですよ。中田花奈さんが写真集『好きなことだけをしていたい』(光文社)で美しい背中のラインを披露していたのに感銘を受けて、私もこんな風に綺麗に撮ってもらいたいなぁと思い、参考にさせていただきました。乃木坂46の衣装で肩や脚を出すことはあっても、なかなか背中を見せることはなかったので、いい機会になりましたね。


■第二の故郷・北海道での思い出


――ロケ地・北海道は渡辺さんの第二の故郷なんですよね?


渡辺:一応、小学校の6年間は北海道に住んでいました。


――北海道に帰省されるのも久々だったんですか?


渡辺:いえ、自粛が始まる前に一度帰省していたので1~2年ぶりでした。ただ、札幌に遊びに行くことはあっても、今回のロケ地となった富良野に行ったのは子どもの頃以来。改めて訪れてみると、具体的な思い出はなくとも、なんとなく昔の感覚が蘇ってくる感じはありました。


 例えば、ソフトクリームを持って写っているカットがあるんですけど、あのソフトクリームは、子どもの頃に食べたのと同じなんです。色合いだけは覚えていたので、間違いないはずです。ベリー系の味でした。本当は食べる予定じゃなかったところ、私が懐かしんでいたら、スタッフさんが買ってくださったんですよね。


――まさしく懐かしの味ですね。それに、やっぱり北海道ロケだと、現地での食事も美味しかったのでは?


渡辺:私、海鮮が大好きなんです。撮影が終わったあと、スタッフさんに「今日は何食べたい?」って聞かれたら「お寿司が食べたいです」と3日連続で答えていましたから。撮影期間中にもかかわらず、しっかり味わわせていただきました(笑)。


――久々の富良野。記憶は曖昧だったにしても、懐かしい場所での撮影は居心地が良さそうですね。


渡辺:はい。安心感しかありませんでした。初ランジェリーの撮影も緊張していたはずだったのに、北海道の懐かしい空気に包まれていたからか、心から楽しむことができましたし。あと、大草原のなかとうきびを食べているシーンの撮影も幸せでした。東京じゃ絶対にできないことですし、道民としての誇りを感じる瞬間でしたね。


――そんな北海道での撮影で、いちばんの思い出は何ですか?


渡辺:全部が思い出ですけど、強いて言えば、撮影終わりにスタッフさんとスーパーマーケットに行く時間が大好きでした。みなさんが北海道を満喫してくれているのが伝わってきて、私も楽しい気持ちになりましたね。


――あたたかい撮影チームだったんですね。


渡辺:そうですね。今回、写真集ということで、当然ながら私一人のための撮影で。衣装を着替えて、ヘアメイクを整えたらすぐ次の撮影に向かうため、常に気を張っている状態でした。グループでの撮影だと、他の子が撮っている間に待ち時間が発生しますから、ここまでスピード感のある撮影は今までほとんど経験したことがなかったんですよね。でも、そんな状況を楽しめたのは北海道の空気感とスタッフさんとの関係性によって居心地のいい空間が作り上げられていたから。本当にありがたかったです。


■“消極的”なりの表現


――写真集のタイトルが「消極的な華やかさ」。印象的なタイトルですよね。秋元先生からこのタイトルを聞いたとき、渡辺さんはどう感じましたか?


渡辺:まさに私のことを言い表したタイトルだと思いました。乃木坂46で過ごした8年間、決して積極的なタイプではなく、自分をうまく表現できないまま時間だけが経っていた実感もあったので、それを分かってくださっていたんだなぁと。唯一、私が自分を表現できていると感じられたのはダンスだけでしたから。


――控えめな性格は子供の頃からですか?


渡辺:いえ。子どもの頃は、むしろ活発で積極的な性格でした。自分から話しかけて、誰とでも仲良くなれてしまうような子どもでしたね。性格が変わったのは乃木坂46に入ってから。プライベートで友達と遊ぶ時間が減ったことや学校になかなか通えなかったことから、人見知りが激しくなってしまったんですよね。あと、かわいいメンバーにずっと囲まれていたので、自分に対する自信もなくなってしまって……。


――そうだったんですね。


渡辺:でも、私は消極的な今の自分も好きなんです。おかげで、ほかのメンバーを支える役割に回ることができ、縁の下の力持ちになれたんじゃないかなって思うので。メンバーから相談を受けることもよくありました。そんなとき「あの子はこういう性格だから、こんな言葉をかけてあげよう」と、ひとりひとりに向き合えたことも私にとっては大切なことでした。消極的な性格だったからこそ、個性豊かなメンバーのなかで私らしくいられたんじゃないかと思っています。


――「消極的」と聞くとネガティブなイメージがありますが、渡辺さんはポジティブな言葉として捉えられているんですね。唯一の自己表現方法がダンスだったともお話しされていましたが、そういう意味では、写真集に写っているのも「消極的」でありながらも追求してきた、自己表現の延長上の姿なのかもしれないですね。


渡辺:そうかもしれません。最後のカットは、スタッフさんから「踊りながらポーズをとってほしい」と言われて、ダンスを意識しながら自由に動いている瞬間を撮っていただいたんです。やっぱり踊ることが好きだし、写真集のなかにダンスをしているようなカットを取り入れられたのは、素直に嬉しかったですね。


――このとき、何を感じながら踊ったんですか?


渡辺:踊ると言っても撮っていただくのは写真ですし、何より、まっすぐ立つので精一杯な岩場だったので、ステップを踏むわけにもいかず。ただ、風が吹くとフワッと膨らむ衣装だったので、ドレスの動きを活かしながら、どう動きを見せようか、どの角度が綺麗に見えるかを考えていました。乃木坂46の楽曲「シンクロニシティ」のスカートの裾をはためかせる振りと似たようなイメージですね。カット数は少ないですが、強く印象に残るシーンになったと思います。


――ほかに、渡辺さんのなかで思い入れのあるシチュエーションはありますか?


渡辺:雨が降る夜、乃木坂を歩いて撮ったシーンです。本作のなかで最後の方の撮影だったこともあり、「乃木坂を歩くのもあと少しか」「もうすぐ終わってしまうんだ」と、寂しさが湧き出てきて。さらに、私の写真集のために多くのスタッフさんが協力してくださっていること、ここから新しい未来に向かって独り立ちしていくことを思うと、嬉しさや楽しみな気持ちにもなって、うまく言葉にできないほど、いろんな感情がごちゃまぜになった瞬間だったんです。


――そこには、念願の写真集の撮影で乃木坂を歩くことに対する思いもあったんですか?


渡辺:ありました。乃木坂は、毎回違った気持ちを胸に歩いていた道なので。オーディションのときは、めちゃくちゃ緊張したなぁ……。乃木坂駅を降りると、自然と仕事モードに切り替わってしまうので、正直、安心感を抱ける空間ではなかったんですよね(笑)。でも、だからこそ今回、写真集の撮影で歩くことができたのはいい思い出になりましたね。


――8年間の活動を締め括るのにふさわしい作品になったということですね。


渡辺:8年間、消極的な人間だったので、いまだに私のことをちゃんと知らないというファンの方もいらっしゃると思います。卒業を控えた最後の最後というタイミングではありますが、撮影を終えて、ここに自分らしさを出し切れたと自負しています。本作を見ていただければ、今の私のことがしっかり分かっていただけると思うので、是非、手に取って見てみてください! お願いします!
(写真=鷲尾太郎)