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今季RSCピットレポートにも挑戦の“エクストリームE連勝”テイラー「是非、ステアリングも握りたい」

2021年08月25日 17:11  AUTOSPORT web

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元F1王者ニコ・ロズベルグが率いるRosberg X Racing(ロズベルグXレーシング)から『Extreme E』参戦中のモリー・テイラー
オーストラリア出身のスタードライバーとして、現在は電動ワンメイクSUV選手権『Extreme E(エクストリームE)』にも参戦中のモリー・テイラーは、今季そのドライバー活動と並行して地元が誇る世界的な人気ツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの放送局ピットレポーターにも挑戦している。しかしその業務は「世界選手権でのドライビングと同じぐらい、完全に疲れ切ってしまう(笑)」ほどの重圧だったと語りつつ、将来的にこのV8搭載スーパーカーのステアリングを握り、実戦参加を果たすことを「待ち望んでいる」と語った。

 若干20歳の若さで「WRC世界ラリー選手権で成功するという夢を追い掛けるため」海外に渡り、WRC参戦経験を積み重ねたのちにスバル・チーム・オーストラリアのファクトリードライバーとして凱旋したテイラーは、2016年シーズンにふたつのマイルストーンを達成。国内選手権のARC(オーストラリア・ラリー・チャンピオンシップ)で最年少タイトル獲得記録を更新するとともに、史上初の女性シリーズチャンピオンに輝いた。

 その後、国内で発足したTCRオーストラリア・シリーズにもケリー・レーシングからスバルWRX STI TCRで参戦し、2020年には地元チャンネルセブンが主催するセレブリティ中心のリアリティ番組『SAS Australia』にも出演。過酷な自然環境の中でサバイバル生活を送るファイナリストにもなったテイラーは、2021年RSCシーズンに向け同局プレゼンター陣の一員として自身初挑戦のピットレポーターにも就任し、3月の開幕戦マウントパノラマ500で“ピットレーン・デビュー”も飾っている。

「今年の初めに、こうしてピットレーンからのリポートを担当できたことは、本当に貴重で楽しい瞬間だった」と、シリーズ公式サイトの『Supercars.com』に語った現在33歳のテイラー。

「でもこの仕事をきちんとこなそうと思ったら、まだまだ練習が必要ね。専門家たちは、この業務を実際よりも簡単に見せていることが理解できたわ!」と続けるテイラー。

「インタビュー対象者ではなく、インタビュアーになるというのは本当に大きな学びね。別の視点からトラックにいることを本当に楽しんでいるし、レースに対して第三者的な視点からアクションに参加するのは素晴らしいことだと分かった」

■「レースよりもストレスが多かった」ピットレーンレポート
 そんなテイラーは、過酷な地球環境を舞台にその保全と電動モビリティの可能性追求、そして男女平等の理念を標榜するEVオフロード選手権にも参戦。元F1王者ニコ・ロズベルグが率いるロズベルグXレーシングとの契約で、WorldRX世界ラリー選手権3冠のヨハン・クリストファーソンとタッグを組んでいる。

 その新シリーズでは、サウジアラビアのアルウラ砂漠と、西アフリカ・セネガルの海岸線イベントでともに勝利を飾り、開幕2連勝という華々しい活躍を演じており、続く8月28~29日にグリーンランド・カンゲルルススアークで争われる第3戦北極圏“Arctic X Prix”にも参戦し、初年度シーズン3連勝の偉業に挑むこととなる。

 現在はスーツケースひとつでイギリスを拠点に活動中だという彼女は、今がその人生とキャリアにおいて「一番、クレイジーな時間」だと語っているが、競技に参加してドライブすることと、ピットでのリポートはどちらが“ストレスフル”かと尋ねられた際、開口一番で「現状はレポートの方」だと回答した。

「どちらもかなりストレスがたまり、プレッシャーも大きいけれど、私の最初のピットレーンレポートの経験は、レースよりもストレスが多かったと思う」とテイラー。

「週末が終わったときには、まるでWRCの1戦を戦い抜いたみたいにヘトヘトに疲れ切っていた(笑)。現時点ではまだ新しい挑戦だし、間違いなくもう少しストレスがたまるでしょうけれど、回を重ねるごとに最適な方法を探しているところ」

「ドライビングもレポートも、どちらもプレッシャーと興奮がもたらされる仕事だけど、私自身はその喧騒や多くの話題に触れる状況を愛している。レポートを担当する際にこれほど大きな話題になるとは思わなかったから少し驚いたけれど、絶対に経験してみるべき仕事ね」

 実は2017年に当時のスーパー2カテゴリー用のテストを経験し、ブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)のマコーレー・ジョーンズ車のシートに座っているテイラーは、そのステアリングを握った感触からさらなる希望を抱いている。

「素晴らしい日だった。そのドライビング感覚は一瞬で私を虜にした」と続けるテイラー。「残念ながら、当時はそこから参戦に必要な資金を集めることができずチャンスを失ってしまったけれど、RSCでの楽しいキャリアに向け是非、また挑戦してみたいと思っている」