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妊娠中の妻を置いて「フジロック」に行った夫、離婚を突きつけられても仕方ない?

2021年08月25日 11:01  弁護士ドットコム

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妊娠中の妻を置いて、夫がフジロックに行ってしまった――。はてな匿名ダイアリーに投稿されたこんな記事が話題になっている。


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野外音楽イベントのフジロックは、8月20日から22日にかけて、新潟県湯沢町で開かれた。コロナ禍ということで、一定の感染防止対策がされていたようだが、開催すること自体への批判も少なくなかった。



はてな匿名ダイアリーの記事は、すでに削除されているが、妊娠中の女性が書いたと思われる内容だった。妊娠中の彼女を置いて、夫がフジロックに行ったという話で、コロナ感染についての不安をつづっている。



「コロナにかかって帰ってきたら一生恨んじゃいそう」。こんな心情も書かれているが、ネット上では、「私なら離婚がチラつくレベル」「コロナ禍じゃなくても離婚案件だわ」といった反応があがっている。



今回のようなケースで、夫は妻に離婚されても仕方ないのだろうか。理崎智英弁護士に聞いた。



●夫婦関係が修復不可能なまでに悪化したといえるか

法律上の離婚事由は民法770条1項で規定されています。今回のようなケースでは、5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」があるかどうかが問題になりそうです。



客観的にみて、もはや修復の可能性がない程度に夫婦関係が破たんしている場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」ありとされます。



コロナ禍において、多くの人が集まるイベントに参加すること自体には賛否両論があると思います。



感染防止対策を十分に講じたうえで、イベントに参加したのであれば、感染のリスクは低いかもしれませんが、家にいる場合よりは感染リスクはあるでしょう。



そのため、妻の立場からは、コロナ感染のリスクを冒してまで、イベントに参加しないでほしい、と思う気持ちは理解できます。



ただし、イベントに参加しただけで、夫婦関係が修復不可能なまでに悪化することはないでしょうから、イベントに参加したことだけを理由に離婚が認められることはないと考えます。



たとえば、イベントに参加したことで、夫がコロナに感染し、妻も同様に感染してしまったことによって、その後に夫婦関係が悪化し、もはや修復不可能な程度にまでに至ったような場合に初めて、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚が認められることになるでしょう。




【取材協力弁護士】
理崎 智英(りざき・ともひで)弁護士
一橋大学法学部卒。平成22年弁護士登録。東京弁護士会所属。弁護士登録時から離婚・男女問題の案件を数多く手掛ける。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com