長年にわたってコルベット・レーシングで活躍し、数々の成功を収めてきたヤン・マグヌッセンは今週、息子のケビン・マグヌッセンとの初レースをル・マン24時間で迎えているが、家族の側面が「通常のチームと同じように、プロフェッショナルな仕事をすることの支障にはならない」と語った。
ともに元F1ドライバーで、その後スポーツカーレースへと転向したマグヌッセン親子は、同じデンマーク人のアンダース・フィヨルドバッハとチームを組み、同郷のハイクラス・レーシングから今年のル・マンに参戦。49号車オレカ07・ギブソンをシェアしてLMP2クラスを戦う。
ル・マンで通算4度GTクラスを制しているヤンは自身23回目となるフランスの耐久レース出場に向けて準備を進めているが、彼はプロとしての仕事を終えた後にこそ、親子としての経験が生きるとSportscar365に述べた。
「物事に対していい意味で素直さがあると思う。とくにドライビングスタイルやスポーツカーチームであることを知り、3人のドライバーが可能な限り速くなければならないと考えている」とヤン・マグヌッセン。
「僕はピットレーンに並ぶすべてのチームに競争があると思う。(クルマが)ドライビングスタイルやカーブに合っているか、そうでないかを質問した時に正直に答えが返ってくることのは良いことだと思う」
「ミーティングでもクルマと向き合っているときも、僕たちに親子のような雰囲気はない。父と息子の関係になるのは、すべての作業が終わって(寝泊まりする)キャンピングカーに戻ってからだ」
「仕事をしているときは普通のチームと同じように、僕たちはプロフェッショナルとして働いている。
また彼は「新しいチームで、知らない人たちと一緒に仕事をしているケビンの様子には感心している」と付け加えた。
「彼が投げかけるポイントや、問題があればそれをどのように解決しようとしているのか、僕は多くを学んでいるんだ!」
この週末にル・マンデビューを果たすチップ・ガナッシ・レーシングのIMSA DPiドライバーのケビンは、クルマを共有してデータをまとめる作業のプロセスが、これまでのところ期待どおりに進んでいることを示唆した。
「僕たちにとってレースの話をするのはとても自然なことだ」とSportscar365に語ったケビン。
「僕らはずっとそうしてきたし、一緒にいるときはいつもレースの話をしている。だから、今から新しく何かに慣れる必要があるとは感じていない」
「(予選では)思うような速さがなかった。ポールポジションを目指して戦いところだったが、同じセットアップの姉妹車(20号車オレカ07)と比べてもストレートスピードが少し足りていない」
「その解決策を見つけようとしている。とはいえ、僕たちは本当にこの経験を楽しんでいる。家族でここにいることはとても特別なことだ。また、父と一緒に来ても、そうでなくてもこの場所は特別だ。この経験はずっと忘れられないものになると思う」
■直線スピード不足を解消へ
ヤンとケビン、ふたりのマグヌッセンは先週末に行われた“テストデー”以降、ハイクラス・レーシングが走らせる49号車オレカ07のトップエンドスピードが落ちていることを指摘し、チームがその修正に取り組んでいることを明らかにした。
LMP2クラスに参戦する25台の内、ケビンは18日に行われた予選を20番手で終え、各クラス上位6台が進出するハイパーポールへの権利を逃した。
彼のタイムは3分31秒800で、リッキー・テイラーとマルコ・ソーレンセン、デニス・アンダーセンによって駆動される姉妹車20号車オレカ07を順位でひとつ上回ったものの、このクルマで記録された週末のトップスピードは同じガレージにいる他のオレカ07よりも3.8km/h遅く、クラストップとの差は6.7km/hにもなる。
ハイクラスはこの遅れを取り戻すためにエンジン交換を実施するものと考えられており、それはFP3の後になる可能性がある。
「ストレートスピードを取り戻すことが、僕らの最大の課題だった」とケビンは述べた。
「僕たちは最初から(20号車と)同じセットアップでスタートしたわけではない。すぐにエンジンを交換することはできない。それ以前に数多くの項目をチェックしていく必要があるんだ」
「クルマのバランスを高めることに焦点を合わせてラップを稼ぐことができればいいのだけど、ほとんどの作業は最高速を取り戻すことに費やされたため、その点ではフラストレーションがたまった」
「それを修正しようと、多くの作業を行っている。エンジンを交換してスピードが改善されるのなら、それは素晴らしいことだ」