元F1ドライバーのニコ・ロズベルグは、2015年シーズンにメルセデスのチームメイトだったルイス・ハミルトンに3年連続でタイトルを取られたのは最もつらいことだったと明かしたが、それは変革をもたらす敗北でもあったという。
ロズベルグとハミルトンは、ハミルトンがマクラーレンからメルセデスに移籍した2013年にチームメイトとなった。その年、圧倒的優位にあったセバスチャン・ベッテル(当時レッドブル)が4度目の世界タイトルを獲得。ハミルトンはチャンピオンシップを4位でフィニッシュし、ロズベルグには18ポイント差をつけたが、ハミルトンの優勝回数が1回だったのに対し、ロズベルグは2回の優勝を果たしていた。
だが2014年にハイブリッド時代が到来すると、メルセデスは他を圧倒した。ハミルトンは11回の優勝により自身2度目のタイトルを獲得し、ロズベルグは67ポイント差をつけられた。
ハミルトンは2015年にも同様の偉業を達成した。一方ロズベルグはシーズン最後の3戦では優勝を決めたものの、再度ハミルトンの後塵を拝し、59ポイント差でシーズンを終えた。
当時、苦戦したうえでの敗北だったが、最終的にはこれがロズベルグのモチベーションを高めることになった。
「当時は、『冷酷なルイスに対し、彼は世界チャンピオンになるにはおそらく優しすぎる』と言われているようだった」とロズベルグは『The Times Magazine』のインタビューで説明した。
「僕は3年連続でルイスに負けた。最後は本当につらかったよ。僕はホテルの部屋に閉じこもり、自分に地獄のようにプッシュしていくんだと思い込ませた。それが僕のモチベーションと集中力を高めたんだ」
メルセデスでの激しいライバル関係を背景に、ロズベルグは自身の言葉に忠実に全力を尽くし、とうとうハミルトンを打ち負かした。シーズン最終戦のアブダビで、たった5ポイント差でタイトルを勝ち取ったのだ。
「最後まで接戦だった。最後のコーナーまでね。それ以上ないというくらい張り詰めていた」
「そしてルイスに勝った。同じマシンで、彼に対して苦戦してきた後にだ。本当に完璧だった」
ロズベルグがF1キャリアを終わりにする決断をしたことで、F1におけるハミルトンと彼のライバル関係はあの日に終焉を迎えた。だがふたりのドライバーは、スリリングな電動オフロードシリーズのエクストリームEでそれぞれのチームオーナーとして、ある意味ではふたたび対決することになった。
「彼がこれに加わってくれてうれしいよ。すごくクールなんだ。なぜなら僕たちは偶然にもトップ2のチームで、互いに争っているからね」
「今の時点では僕のチームが首位だ。序盤のレースでは2チームとも優勝したが、まだチャンピオンシップは始まったばかりだ。今年の終わりに結果を評価することができるだろう」