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オンワードが自社ブランドを立ち上げたい工場を支援 D2Cサポートプロジェクト「クラハグ」を始動

2021年08月19日 23:02  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

フォトセッションの様子 Image by: オンワードホールディングス
オンワードグループが、日本のものづくり支援を目的としたD2Cサポートプロジェクト「クラハグ(CRAHUG)」を発表した。ファクトリーブランドに加えて、国内の工場によるオリジナル商品の開発から販売までをサポートする。第1弾として12の生産者・工場が参画し、13ブランド計183商品をラインナップ。8月31日から自社EC「オンワード・クローゼット(ONWARD CROSSET)」で販売を開始する。

 オンワードグループは自社ECを中心にオンラインビジネスの強化を進めており、オンワードホールディングス 保元道宣社長はクラハグを「新しいスタイルのファッションビジネス」の一環と位置付ける。オンワードのプラットフォームを通じて日本のものづくりにおける匠の技術を国内外に発信することで、地域活性にも寄与したい考えだ。プロジェクトの名称は「CRAFTSMAN(職人)」「LIFE(暮らし)」「HUG(ふれあう)」を組み合わせた。運営はオンワードホールディングス子会社のオンワードデジタルラボが手掛ける。

 クラハグの主な取り組みは、全国のファクトリーブランドの完成済みの商品をセレクトし、EC販売をサポートする「販売支援」、ファクトリーブランドを作りたい工場の企画支援を行う「ブランディング支援」、日本の産地や工場をプロジェクト独自のウェブジャーナルサイト crahug.jpやSNSで情報発信する「プレス発信」、受注販売会やポップアップイベント、工場に行ける観光ツアーを実施する「イベント開催」、購買データの分析からブランディングや商品開発に還元する「ウェブ分析」の5つ。契約プランによってオンワードが得る手数料は異なるが、初期費用は一律無料とする。
 商品ラインナップはウェアやストール、バッグ、靴下などのファッションに加えて、クッションやブランケット、キッチン雑貨、器、スキンケア、フレグランス、キャンプグッズなど幅広く取り揃える。第1弾で参画する生産者には、岐阜の木曽川染絨や香川の川北縫製、石川の輪島キリモトなどが名を連ねる。

 プロジェクトのクリエイティブディレクターには、カジハラデザインスタジオ(KAJIHARA DESIGN STUDIO)代表取締役社長でテキスタイルデザイナーの梶原加奈子氏を迎えた。梶原氏は長年にわたり日本のテキスタイルをグローバルにつなげる活動に取り組んでいる。同氏によると、日本の繊維産業の現状として、新型コロナウイルスの影響で受け身のビジネスがより厳しさを増し、自社で製品を開発し販売する生産者が増えているが、販売までのスケジュール管理やプレスの方法に関して知見や経験がないことが課題となっているという。クラハグではオンワードのオフライン・オンラインの販売網を強みにしていくほか、オンワードの若手社員がブランディングから商品企画、生産サポート、撮影、販売、プロモーション、購買分析まですべてのフローに携わる。梶原氏は「考え方の交流も含めてプロジェクトを発展させていきたい」と狙いを語った。
 オンワード・クローゼットでの販売に加えて、9月1日から12日まで展示会イベント「CRAHUGつくるにふれる。くらすはつづく。展」を伊藤忠SDGs STUDIOで開催する予定。来春には越境ECへの進出を視野に入れている。