8月18日(水)にフランス・ル・マンのサルト・サーキットで行われたWEC世界耐久選手権第4戦/第89回ル・マン24時間レースの予選セッションで、TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)の新型ハイパーカー『GR010ハイブリッド』は、全体トップタイムをマークした。
マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスの3名がドライブする7号車GR010ハイブリッドは、可夢偉のアタックで3分26秒279というハイパーカーによるサルト・サーキットでの最速タイムをマーク。
セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレーの8号車GR010ハイブリッドはハートレーがアタックし3番手。2台のGR010ハイブリッドの間には、アルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480・ギブソンが割って入った。・
決勝レースのスターティンググリッドは、19日(木)に行なわれるハイパーポールで決定される。このハイパーポールは、初日の予選で各クラストップ6に入った車両が、現地時間午後9時から30分間のセッションでタイムを競う。TGRは5年連続のポールポジションを目指し、このハイパーポールに出場する。
18日午後7時から1時間にわたって行われた予選では、可夢偉とハートレーがニュータイヤと軽い燃料搭載量でセッション開始と同時にコースイン。可夢偉はクリーンな周回でアタックを行い、トップタイムをマーク。一方で8号車のハートレーはコース上のトラフィックに阻まれながらも、その時点で7号車から1.392秒遅れとなる2番手につけた。
予選アタックを順調に終えたことで、チームは決勝レースに向けた準備とタイヤの分析へと目的を切り替えた。規定により、この水曜日と木曜日のトータル11時間にわたる練習走行と予選の間、車両1台につき6セットのタイヤしか使用できないため、残りのセッションはオールドタイヤでの走行となった。セッション終盤に、アルピーヌ36号車が2番手に浮上した。
■テストデー欠席のブエミが夜間のプラクティスで首位
レースウイーク走行初日となった18日は、予選以外にも2回にわたる、合計5時間の練習走行セッションが設けられ、エンジニアとドライバーにとっては、さまざまなセットアップの変更を検証する貴重な機会となった。
14時からのFP1で2台のGR010ハイブリッドは、空力およびメカニカルセットアップの比較、タイヤコンパウンドの評価などを行った。このセッションでは7号車のロペスが3分29秒309でトップタイム、8号車は一貴が0.087秒差の3番手となった。
8号車のブエミは、他のレース出場により15日のテストデーを欠席したため、この日のFP1がGR010ハイブリッドでのサルト・サーキット初走行となったが、22時からのFP2の夜間走行ではセッショントップタイムをマークしている。
走行初日を終えたTGRの6名のドライバーのコメントは、以下のとおり。
■「7号車と比べると少しスピードが足りない」と中嶋一貴
■7号車トヨタGR010ハイブリッド
●小林可夢偉
「いつでもトップタイムは嬉しいことですが、あくまでも予選ですし、まだハイパーポールもあるので、それほど重要視していたわけではありません」
「GR010ハイブリッドの感触は良く、すべてがスムーズで、良いレースウイークのスタートが切れたと思います。24時間という長いレースですから、車両は快適でなくてはなりませんし、安定性も求められます。そのための作業を続けてきましたし、明日の木曜日もこの調子で頑張ります」
●マイク・コンウェイ
「良い一日で、着実なレースウイークのスタートが切れた。今日の主な目的は決勝レースへ向けた準備だった。テストデーでの作業に続き、更なるテスト項目をこなし、とてもうまくいった」
「今日は涼しくなったが、GR010ハイブリッドはテストデーの時と変わらず、決勝レースへ向けて良い兆候だと思う」
●ホセ・マリア・ロペス
「1年で最も重要なレースであるル・マンが、今日のセッションで公式に始まった。チームは素晴らしい仕事をしてくれており、セッションが進むごとにクルマの感触は良くなっている」
「GR010ハイブリッドは本当に素晴らしいクルマだ。もちろんポールポジション獲得は狙っているが、最も重要なのは決勝レースだということは良く分かっている」
■8号車トヨタGR010ハイブリッド
●中嶋一貴
「レースウイーク最初の走行日となりましたが、テストデーと比べコースの路面温度が大きく変わりました」
「我々はさまざまなタイヤと、タイヤコンパウンドに合うセットアップを試すと同時に、制御システムについてもいろいろとテストしました。進展はありましたが、明日へ向けてまだやるべきことは多いです」
「7号車と比べると少しスピードが足りない感じなので、ハイパーポールまでになんとかしたいと思っています」
●セバスチャン・ブエミ
「テストデーに参加できなかったので、とにかく習熟と学習に費やした。これまでここル・マンで走ってきた車両とは別物なので、自分を合わせる必要があり、スピードを取り戻すのに数周かかった」
「GR010ハイブリッドの感触は予想以上に良く、コースコンディションもセッションが進むごとにグリップが増している。残るセッションでの更なる進化を期待している」
●ブレンドン・ハートレー
「とても順調な一日だった。GR010ハイブリッドを再びドライブできて最高だ。本当にこの車両はここル・マンで生まれたかのようで、実家に帰ってきたように感じる」
「テストデーと比べると、路面温度がとても低く、風向きも違ったので、まったく異なるコンディションだった。そのおかげで、決勝レースで夜間走行に入るときの適切なタイヤ変更タイミングなど、さまざまなタイヤコンパウンドについて学ぶことができた」
「タイヤとセットアップの決定はテストプログラムの大きな要素だが、すべてがうまくいった」