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発見! あぶない家 第4回 「家に居るから大丈夫」は本当に大丈夫?

2021年08月19日 07:51  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
皆さんは普段「昼間は人が家に居るから大丈夫!」と何の根拠もなしに信じていませんか? このコロナ禍でステイホームや在宅勤務の方が増え、在宅の確率がグンと上がりました。これは留守宅を狙う「空き巣」にとっては都合の悪い環境ですが、わざわざ在宅を狙ってくる犯罪者にとっては、今が一番都合の良い社会環境になっています。

「エッ! 人が家に居ても危ないの?」と思われる方も多いと思います。今回は人が家に居るからこそ起きる犯罪についてお話をしたいと思います。
○玄関を開けさせ押し込む「押し込み強盗」

人が家に居るからこそ起きる犯罪で、最も知られているものが「押し込み強盗」。宅配業者を装って犯行に及ぶものが一番多く発生しています。この押し込み強盗は、みなさんも報道でときどき耳にしたことがあるのではないでしょうか?

ピンホーン「宅配です」と訪ねて来て玄関を開けさせ押し込む手口ですが、最近ではガス・水道・電気等の点検を装い複数人で訪ねてきて玄関を開けさせ家に上がり込み、その中の一人が家人に家の中を案内させている間に他の人間が金品を盗む点検盗や、家に上がり込んだ途端に家人を縛り上げ金品を強奪する点検強盗も多発しています。

また「コロナウイルスの検査をします」「この周辺でコロナウイルスが検知されました。この付近一帯を消毒しています」等といった新型コロナを悪用した手口も出てきています。

犯罪者は実に賢く、その時世や社会状況に合ったさまざまな手口であなたを狙ってきます。いかなる来訪者であっても、いきなり玄関を全開してはいけません!

日頃から施錠と同時にドアガード(ドアチェーン)も掛けて生活をしていただきたいです。そして来訪者があった時にはドアガード(ドアチェーン)を掛けたまま対応をしてください。一番良いのは玄関に行く前にインターホンで細かく確認対応し、宅配ならば「送り主は誰か、中身は何か、誰宛に来ているのか」を確認する。点検等の場合は各企業に電話で確認をするようにしていただきたいと思います。
○「アポ電」はどう防ぐ?

押し込み強盗は、宅配業者や点検を装い突然家に訪ねて来るものばかりではありません。みなさんもよくご存じの「アポ電」が掛かってきて、その家の状況を聞き出し家に押し込んでくるケースもあります。

アポ電から始まる押し込み強盗は電話が掛かってきた時点で防ぐことが重要です。犯人は警察や役所等、公的機関を騙り実に流暢な会話で極めて自然な形で情報を聞き出します。電話の会話の中で家の情報や個人情報を聞いてきた場合は疑ってください。しつこい場合は電話を切る勇気をもっていただきたいです。 
○外におびき出して侵入する「呼び出し窃盗」

宅配業者を悪用するのは、押し込み強盗犯だけではありません。つい先日もこんな事件がありました。「宅配業者ですが道が狭くて入れません。すみませんが近くの〇〇まで荷物を取りに来てくれますか」と電話があり、家人がその場所まで行っても誰もいません。しばらく待っていても誰も来ないので、あきらめて家に戻ると家の中が荒らされ金品を盗まれていました。これは「呼び出し窃盗」と言われるものです。昔からある犯罪ですが、犯罪企図者は手を変え品を変え現在でもはびこっています。

アポ電から発展する押し込み強盗も、電話で呼び出される呼び出し窃盗も、固定電話から始まります。今はLEDランプの色により一目で安心して出てよい電話か、出なくても良い電話かが判断でき、なおかつ電話機本体で悪質な電話を防いでくれる「防犯電話機」も販売されています。物による対策。防犯電話機を活用することもお勧めします。
○生活中に侵入する「居空き」にも注意を

戸建てにお住まいの方は、家人が生活中に入ってくる「居空き」にも注意していただきたいです。家人の入浴中や食事の支度中・敷地内での作業中等に侵入してきます。

つい先日、家人が自宅2階のベランダで洗濯物を干している時に、鍵の掛かっていない玄関から侵入し金品を盗んだという事件が報道されました。今の時代、家人が家に居るからこそ鍵を掛けた生活をするように、お願いをしたいです。

家人が居るのを分かっていて入ってくるこの「居空き」は、皆さんが想像している以上に危険な犯罪です。なぜなら犯人は家人に見つかっても自分は大丈夫だよ! と腹が据わった犯罪者で、脅すために凶器を持っています。居空きから強盗事件や強盗殺傷事件に発展しているケースが多いことを、知っていただきたいです。

どうですか? 貴方はこれでも「昼間は人が家に居るから大丈夫!」と思いますか?

人が家に居るからこそ凶悪事件に発展する場合があります。これをお読みになり「ゾッ!」とされたと思います。その感覚を忘れないでいただきたい。

日頃から防犯意識を高く持ち「防犯生活」をしっかりなさっていただきたいです。あなたとあなたのご家族を守るのはあなたです!

一般社団法人 日本防犯学校学長/防犯ジャーナリスト : 梅本正行 うめもとまさゆき 1964年からセキュリティ事業に参入し、警察署での署員特別教養講師や犯人逮捕への協力など、警察からの感謝状は400枚を越える。侵入犯罪の現場には極力足を運び、犯罪現場の環境や犯行手口など、事件の内容を検証。その数は8,000件を越え、今もなお増え続ける。現在、犯罪者心理を知り尽くしたプロの目で、防犯ジャーナリストとして活躍。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等で予知防犯対策を提唱している。また、行政・自治体・民間企業等でのセミナーや講演も多く、人情味あふれる独特のキャラクターで予知防犯対策の重要性と人の命の尊さを呼びかけている。通称「防犯の梅さん」。 防犯対策責任者の育成にも力を入れ、養成講座を開講する傍ら、犯罪抑止に力を注ぐと共に経済産業省の「省エネ・防犯情報提供事業研究会」の委員として参画していた。現在は地域の防犯ボランティアの育成や防犯住宅を造る工務店の育成を全国で行っている。 一般社団法人 日本防犯学校 この著者の記事一覧はこちら(梅本正行)