Lynk&Co 03 TCRや今季デビューのヒュンダイ・エラントラN TCRなどセダン系モデルを中心に、搭載ウエイトやエンジン最高出力の調整が実施された グローバルに拡大するツーリングカー規定、TCRのライツホルダーであるWSCグループ技術部門から、最新のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)速報版がリリースされ、リンク&コー03 TCRや今季デビューのヒュンダイ・エラントラN TCRなどセダン系モデルを中心に、搭載ウエイトやエンジン最高出力の調整が実施された。
また、8月20~22日に開催の迫るWTCR世界ツーリングカー・カップ第4戦ハンガロリンクに向けても、戦績により課せられるコンペンセーション・ウエイトの変更があり、こちらもサルーンのアウディとヒュンダイに対して重量増の措置が決まっている。
7月末に開催予定だったイタリアのアドリア・インターナショナル・スピードウェイ戦が、改修工事の遅延により延期となったことを受け、TCRを統括するWSCはテクニカルレイアウトを持つハンガロリンクでの新たな第4戦を前に、2021年シーズンに入り2度目の性能調整を実施する決断を下した。
そのうちBoP重量削減の対象となったのは、シアン・レーシングが走らせるリンク&コーCo 03 TCRで、割り当てられているバラストから10kgが削除され、60kgから50kgへとダウン。しかし車両最低重量ではヒュンダイのクーペモデルであるヴェロスターN TCRなどと同様の1315kgとなり、依然としてTCR最重量級モデルの地位を占めている。
その他のモデルにBoPウエイトの変更はなく、ECUによる出力レベルの調整では前回BoP重量10kg増の措置を受けたヒュンダイ・エラントラN TCRにさらなる抑制措置が加わり、エンジンパワーを100%から97.5%へと削減。同一プラットフォームを使用する旧型モデルのi30 N TCRと同等となり、こちらもそれ以外のモデルは従来から「変更なし」としている。
また、7月10~11日にスペインのモーターランド・アラゴンで争われたWTCR第3戦で、リバースグリッドのレース1で勝利した59歳の“鉄人”ガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRCヒュンダイN・リキモリ・スクアドラ・コルセ)と、レース2のポール・トゥ・ウインで新型アウディに世界戦初優勝をプレゼントしたフレデリック・バービッシュ(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ)の結果を受け、当該2車種に対し今週末の第4戦ハンガロリンクではコンペンセーション・ウエイトの増加が決定した。
■WTCRで最軽量のクプラ、STCCでは最大サクセスバラストを搭載
予選の平均ラップタイムと前レースの結果に基づいて計算される加算重量は、どちらのモデルでも10kg増加し、アウディは0kgから10kgに、ヒュンダイは40kgから50kgへと変更される。それ以外のモデルはスペインの数値が継続され、60kgを搭載するFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRと、重量なしの0kgとするクプラ・レオン・コンペティションTCRでは80kgもの重量差が生じている。
この結果、総重量ではシビックが1345kgで最重量となり、1325kgでリンク&コーCo 03 TCRとヒュンダイ・エラントラN TCRが並び、1285kgのアウディRS3 LMSに、最軽量のクプラが1265kgとなっている。
一方、この世界戦以外で独自のウエイト加算方式を採用するSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権では、8月21~22日の第3戦ゲラーローゼン・アリーナ(カールスクーガ)に向け選手権首位を行くロバート・ダールグレン(クプラ・レオン・コンペティションTCR)に対し、最大の“サクセスバラスト”搭載を課すと発表。
PWRレーシングのエースは、今季開幕から6戦4勝、全レースで表彰台を記録するなどシーズンを支配しており、彼のクプラには50kgのバラストが搭載される。
同じくランキング2位のトビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS)は、前回と同じ45kgの搭載に留まり、一方で同3位のマティアス・アンダーソン(リンク&コー03 TCR/MA:GP)は5kg増加の計40kgが課された。
さらに前回のインシーズン“サマー”テストで最速だったミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(クプラ・レオン・コンペティション)も5kg増の35kgに。その一方で、レストラップ・レーシングの新エース、オリバー・セーデルシュトレーム(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)は開幕戦から最も重量を削減し、45kgから30kgへと軽減されている。