2021年08月16日 18:41 弁護士ドットコム
吉本興業でおこなわれた新型コロナウイルスワクチンの職域接種をめぐり、2019年の「闇営業問題」を受けて導入された「エージェント契約」の芸人は、接種の対象にならなかったのではないかとの疑惑が持ち上がっている。
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きっかけは、8月3日深夜放送の『芸人動画チューズデー』(テレビ東京系)で、お笑いコンビ・天竺鼠の川原克己さんが、自身がエージェント契約のため、職域接種を受けられなかったと語ったことだ。
天竺鼠はコンビでも契約形態が異なる。川原さんは、相方の瀬下豊さんに職域接種の予定が入っていたため、マネージャーに恐る恐る自分の予定を尋ねたところ、「あっ吉本じゃないんで」と反応されたと話していた。
この点について吉本興業に、契約の違いで職域接種が受けられないことがあるのかを確認したが、「個人情報と契約にかかわることなので回答できない」とのことだった。
ワクチンの職域接種では、同じ会社に限らず、下請け企業や取引先なども対象になる。ワクチンが不足する中、対象を広げすぎることには批判もあるが、芸人を契約内容によって分ける合理性はあるのだろうか。職域接種を受けられたという相方の瀬下さんにしても、吉本の「社員」ではない。一緒に仕事をすることが多いコンビなら感染対策の効果も薄れてしまう。
あるいはワクチンが確保できなかったということなのかもしれない。ただ、吉本興業の職域接種については6月28日、「若い方に(接種してもらえるよう)メッセージを届けられる」と、河野太郎ワクチン担当大臣がメディアを引き連れて視察に訪れている。
番組での川原さんの語り口は笑いを誘うものであって、発言内容にはウソや誇張が含まれている可能性もある。エージェント契約でも接種を受けられた芸人もいるかもしれない。
ただし、エージェント契約をめぐっては、加藤浩次さんが2021年3月で契約満了になったときなど、事実かどうかはともかく、吉本側が快く思っていないとする報道が度々出ている。問題になった川原さんのトークもこうしたイメージが前提にあるからこそ、笑いが生まれている。
ネットでも、こうしたイメージを前提に「本当なら嫌がらせでは」「差別じゃないの」などといった視聴者の感想が見受けられる。