8月14~15日にドイツ・ベルリンのテンペルホーフ空港特設サーキットで開催された2020/2021年ABB FIAフォーミュラE世界選手権第14~15戦ベルリンE-Prix。
FIA格式の世界選手権初年度となった“シーズン7”を制したニック・デ・フリース(メルセデスEQフォーミュラEチーム)はレース後のインタビューで「言葉がないよ」と感慨深げに語った。
最終戦となるベルリン2連戦にドライバーズランキングトップで臨んだデ・フリースは、14日に行われた第14戦の予選で苦戦を強いられ19番手という結果となり、続く決勝レースでも他車との接触の影響で最下位となる22位という結果に終わった。
また、第14戦ではエドアルド・モルタラ(ロキット・ベンチュリ・レーシング)が2位でフィニッシュしたため、優位に立っていたポイントランキングでも差をかなり詰められてしまった。
迎えた翌日の最終戦。この第15戦の予選でもデ・フリースの速さは影を潜め、13番手という予選結果になってしまう。しかし決勝レースのスタートで、いきなりチャンピオンシップを争うモルタラとミッチ・エバンス(ジャガー・レーシング)が脱落すると、混乱をくぐり抜けてポイント獲得圏内の10番手にポジションを上げる。
その後もランキング3位につけるジェイク・デニス(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)のリタイアなどもあり、デ・フリースは完走さえすればチャンピオンを獲得することができる状況だったが、レースの途中には他車と接触するなど予断を許さなかった。
デ・フリースはそんな状況を「マシンのペースはとても良かったけれど、同時に僕も標的にされているように感じていた」と振り返る。
「だから、あの時点ではとにかくレースを終わらせたかった。チームは『ジャン-エリック・ベルニュ(DSテチーター)と戦え』と言っていたが、なぜそれが重要なのかわからなかったし、教えてもくれないことに苛立ちを感じていたんだ」
「その後、ほかのドライバーたちが、左、右、前、後ろと、どんどんと僕にぶつかってきた。それが気に入らなくて、レース直後はちょっと不機嫌になってしまったけど、今はそのことが身にしみているよ」
デ・フリースは一時4番手を走行するものの、その後は順位争いのなかでポジションを落としてしまい8番手に下がるが、最終的にその位置を守りきってフィニッシュし、見事フォーミュラE世界選手権初年度のワールドチャンピオンに輝いた。
「今シーズンは高低差のある厳しいシーズンだった。すべてが最後のレースにかかっていて、今日はすべての出来事において幸運が味方してくれた。スタート時のアクシデントから全員が無事でよかったし、今日は素晴らしいレースだったと思う」