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「16時間断食」による究極のアンチエイジング効果、鍵を握るのは“ミトコンドリア”

2021年08月12日 15:00  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

※写真はイメージです

 今、空前のブームとなっている「16時間断食」。提唱したのは、著書『「空腹」こそ最強のクスリ』が34万部のベストセラーとなった医学博士の青木厚さん。

 青木さんによれば、睡眠時間とあわせて16時間以上、ものを食べない時間(空腹の時間)を作ることで、「オートファジー」という身体の仕組みが働きだすのだという。

 その働きによって、ダイエット効果だけでなく、がんや糖尿病をはじめとする生活習慣病、アルツハイマー型認知症、感染症などの予防効果や肌や筋肉などの老化防止の効果があると考えられているのだ。

 しかも、青木さんが提唱する食事法も簡単で実践しやすい。空腹の時間以外は何を食べてもかまわないし、どうしてもお腹が空いた場合は、ナッツ類などは食べていいのだ。注意点としては、筋力が落ちてしまうので、必ず簡単な筋トレを並行して行う必要があるが週1回、週末だけでも「身体のリセット効果」は得られるという。

 ここでは、「16時間断食」で得られるアンチエイジング効果について、あらためて説明しよう。

(※本稿は『「空腹」こそ最強のクスリ』(青木厚=著/アスコム刊)の一部を再編集したものです。)

なぜ、究極のアンチエイジングなのか?

 いつの時代も、「老化」は人々にとって、大きな悩みの種です。

 シワやシミ、白髪が増えてきた。

 物忘れがひどくなった。

 体力が落ち、疲れやすくなった……。

 おそらく誰でも、こうした悩みを抱え、「できれば老化を食い止めたい」と思っているのではないでしょうか。

 では、老化を食い止めるには、あるいは老化のスピードを少しでも遅くするには、どうすればいいのでしょう。

 たとえば、肌の老化であれば「化粧水や保湿クリームによって潤いを補う」「紫外線によるダメージを防ぐため、日光にあたらないようにする」といった方法もありますが、並行して、ぜひやっていただきたいのが、空腹の時間を増やすことです。

 なぜなら、この食事法は、「古くなった細胞を新しく生まれ変わらせる」という、究極のアンチエイジングを可能にするからです。

活性酸素が細胞を老化させる

 老化は、「細胞の老化」によってもたらされます。

 シワやシミができるのは皮膚の細胞が、白髪が生えるのは髪や地肌の細胞が、物忘れがひどくなるのは脳細胞が、疲れやすくなるのは筋肉や内蔵の細胞が老化し、機能が衰えることが原因で起こるのです。

 では、細胞はなぜ老化するのでしょう。

 その原因としては、さまざまなものが挙げられますが、細胞の老化に大きく関わっていると考えられるのが、「活性酸素」です。

 活性酸素は、「酸化させる力」が強く、少量ならウイルスや異物の除去に役立つのですが、数が多くなると、体内の細胞をも酸化させてしまいます。

 たとえば鉄は、酸化すると錆びてしまいますが、同じように、細胞も酸化すると錆びる=老化してしまうのです。

 ちなみに、老化は40代から加速するといわれています。

 なぜなら、活性酸素を除去する「抗酸化酵素」の能力が急激に弱まるからです。

 そして、活性酸素の発生や抗酸化酵素の衰えに深く関わっているのが、ミトコンドリアです。

鍵を握る“ミトコンドリア”

 ミトコンドリアは、細胞の中にある小さな器官で、1個の細胞に数百から数千個存在しています。

 ミトコンドリアは、糖や脂肪酸から、細胞の活動に不可欠なエネルギーを作り出す役割を担っており、このとき、活性酸素も発生させます。

 体内の活性酸素の9割はミトコンドリアが作り出しているといわれていますが、一方でミトコンドリアの中には、抗酸化酵素も存在しています。

 細胞内のミトコンドリアが新しく、質がよく、数が多いほど、その細胞はたくさんのエネルギーを得ることができ、活性酸素のダメージを受けることが少なくなります。

 新しく質のよいミトコンドリアは、抗酸化酵素が活発に働き、たくさんのエネルギーを作るわりに、活性酸素をあまり発生させないからです。

 しかし、加齢や食べすぎ、運動不足などは、細胞内のミトコンドリアの質や数を低下させます。

 身体の細胞内のミトコンドリアが古く、質が悪く、数が少ないと、得られるエネルギーが少ないうえに、活性酸素のダメージを受けやすくなるため、それが疲労や老化の原因となってしまいます。

 もうおわかりでしょう。

 全身の細胞内のミトコンドリアを新しくし、質を高め、数を増やせば、細胞内の老化を食い止めることができます。

 そしてそれには、「空腹の時間を作ること」がうってつけなのです。

 なぜなら、トータル16時間、ものを食べない時間を作れば、オートファジーによって、細胞内の古いミトコンドリアが一掃され、新しく生まれ変わるからです。

 さらに、「空腹の時間を作る」食事法には、成長ホルモンの分泌を促す効果もあります。

 成長ホルモンには、「代謝を高める」「筋肉量を増やす」「コラーゲンを作る」「脂肪の分解を促進する」といった働きがあります。

 成長ホルモンが多く分泌されれば、シワやシミなど、老化による肌のトラブルや、筋肉量の低下に伴う疲労感などが改善されるでしょう。

 一般的に、40歳前後の人の成長ホルモンの分泌量は、20歳前後の人の5割程度であり、それが老化の一つの原因ともなっています。

 ところが、空腹状態や低血糖状態を作ると、成長ホルモンの分泌が促進されるのです。

《PROFILE》
青木厚 ◎医学博士。あおき内科 さいたま糖尿病クリニック院長。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、2015年、青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、高脂血症、生活習慣病が専門。糖尿病患者の治療に本書の食事術を取りいれ、インスリン離悦やクスリを使わない治療に成功するなど成果を挙げている。自身も40歳のときに舌がんを患うも完治。食事療法を実践してガンの再発を防いでいる。ライザップの医療監修ほか、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)、「直撃!コロシアム!ズバッとTV」(TBS)などメディア出演多数。